アリス石に込めるもの
「今日の授業は、初等部のみの合同能力別クラスのお時間です。
初のアリスストーン作りを行いまーす」
わぁっとクラスが沸く。
皆、楽しみのようだ。
それは蜜柑も同じだった。
アリスストーンのことを聞いたときから作ってみたいとは思っていたのが、今日それを実際にやると聞いてわくわくしっぱなしだった。
そしてふと、能力別クラスの担任をみて驚く。
「殿先輩!?」
よく聞くとのだっちの代理だという。
「こんにちはバカ殿.....」
蛍は溜息をついて、
「エロ殿ー」
心読みは手を振りながら、
「アホ殿くそ殿」
棗は睨みながら……
「敬意を払え敬意を」
仮にも教師としてきたのに、散々な言われようだった。
しかし、驚きのゲストは殿だけではなかった。
―ガチャッ
何の前触れもなく開いた扉から姿を現した者に、教室中がざわめいた。
「わりーナル。遅れちまった」
そう、当たり前のように入ってきた詩。
「そうだとは思ってたから別にいいよ」
そう、軽く言葉を交わす2人。
「わーっ!!!!」
「詩せんぱいだぁーーーっっ」
「キャーッ!かっこいいーっっ」
「なんでなんでー?」
「今日教えてくれるのー?」
「あたし詩せんぱいに教えてもらうーっ」
もちろん皆はこの調子。
そして、一番驚いてる様子なのが、蜜柑たち。
言葉も出ないようだ。
それもそのはず、
花姫殿のあの日以来、音沙汰がなかった詩がこんなカタチで自分たちの目の前にあらわれるなんて、誰が予測していただろうか。
棗もこれには驚いてる様子。
蜜柑も蛍も流架も、大丈夫なのかと不安そうだ。
クラスがにぎわう中で、4人だけは皆と違う面持ちだった。
しかし当の詩は元気そうで、いつものように笑っていた______
.