覚悟/理由
「―でもさ、最初からここに来るつもりはなかったんだ」
「へぇー?」
紅茶をいれながら、鳴海は言う。
「少しくらい信じろよ。
―先客がいたんだ」
詩が久しぶりにあの木に向かったら、そこにはすでに棗と流架がいた。
詩は、その光景がなんだか嬉しくて、声をかけずにその場を去った。
2人だけの時間。
きっと2人も久しぶりだったのだろう.........
「―なつかしいね、この木。
あの時はこんな風に笑える日が来るなんて思わなかった
今の棗の笑顔、佐倉がつくったんだね
だから棗は学園に残った。
佐倉を守るために」
「―ああ.....
―この先、あいつの前に立ちはだかるものすべてから
俺はあいつを
守りたい」
「クククっ」
ナルが細かに笑った。
「何だよ、ナル」
「ほんとに君達って似てるよね」
「え?俺と棗のこと?」
面白そうに頷くナル。
「そりゃーアイツが学園に来たときは、俺の初等部んときと重なったけど。
今は、違うよ」
「そーかな」
「え...」
「棗君の瞳、詩とよく似てるよ」
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