代償
―カシャン、カシャン
冷たい金属音が、暗い室内に不気味に響く。
上裸の状態で、天井から吊るされた鎖につながれる。
両手首をしっかり拘束され、床には足が少しつく程度。
そんな詩のいる部屋に、黒ずくめの男たちが数人入ると、それは始まった。
狭い室内に響くのは、乾いた鋭い音、すれる音、金属音、重く鈍い音.......
そして、時々漏れる詩の呻き声。
「っぐ...」
罰則って、こんなにきつかったっけ。
「あ゛ぁ――!!」
思えば、これも中等部以来。
「う゛…」
しばらくこの部屋にお世話になることはなかった。
「がはっ」
中等部の時よりは鍛えられている体も、久しぶりの罰則には悲鳴をあげる。
―早く、終わってくれ.....
そう思う詩は、中等部のころを思い出していた。
「―なぁ、アイツ最近ムカつかね?
何でアイツが幹部生なんだよ。
まともにアリス使ったとこなんて1回もみたことねーし。
アイツのアリスってそんなにすごいのか?」
「それがさ、裏で汚い仕事やってるらしいよ」
「うわ、まじで!?
それで点数かせぎ?
とことん汚ねえ奴だな」
「最近教師たちにも気に入られてるようでさ」
「つか何なんだよ、あの変わり様。
初等部んときとは全然ちげーし」
「調子ノりやがって.....」
「なあ、今度痛い目にでもあわせてやんね?」
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