起死回生の一手
「―鳴海」
「岬先生―」
本部の一角に、2人はいた。
「こんな早朝に来てるって事はお前も....
やっぱ校長からの緊急呼び出しか?」
岬が問う。
「まあね」
鳴海が答える。
「一体何が....」
岬は緊張した面持ちで言う。
「―佐倉蜜柑、日向棗、今井蛍、乃木流架、聖陽一.....それと、東雲詩.....
以下の生徒が中等部にて重大な問題を起こし、現在行方不明。
それ以上の情報は僕の耳にも入ってきてない」
岬は眉根を寄せる。
「東雲詩って.....」
「あのクソガキ....花姫殿の地下でなにを...」
そう、鳴海が言いかけたときだった。
―わ....
がやがや....
外が騒がしいのに気づく。
「何...」
そして、窓の外を見て2人で驚く。
「....紙ふぶき?」
外では.....
速水作・新聞が大量に宙を舞っていた。
当初は詩の式神であちこちに飛ばす予定だったが、どうやらそんなことをしなくても、学園中の目を引いていた。
学園生徒は興味津々。
かなりの興奮につつまれていた______
「中等部の花姫殿に、アリスでない子がすんでるって!」
「ねえこれ、どういうこと?」
「―俺らにはこんだけの圧制しいといて学園はルール違反かよ」
「え?日向棗の妹?また奴だけ特別扱いかよ」
「何で学園にアリス以外の人間がいるわけー?」
「何それー」
「アリス以外が入れるなら何のためのアリス学園よ」
「あたしたちはアリスだからっていろいろ我慢してるのにさー」
「目が見えない女の子なんだって、かわいそうだね」
「何で学校にも行かせないで閉じ込められてたんだろう....」
そして棗は、妹葵を連れ、屋上に姿をあらわしていた。
「大丈夫だ葵。
今度こそお前を、俺が絶対守ってやる」
棗は、真っ直ぐな瞳でそう言うのだった。
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