このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

起死回生の一手



詩が、思いついたこと。

それを聞いて、最初は皆、驚いた。

かなり大胆で、イチかバチか.....

だけど時間がない。

皆徐々に、決心したような目で頷く。

今は、これしかない_______






「―詩」

皆が詩の思いついた作戦にとりかかろうと準備を始めていたとき、秀一が詩に声をかけた。




―ボフッ




そして、何か柔らかい白いものが顔面にヒット。

「うわっ....何すんだよ秀....」

勿論詩も作戦に取り掛かろうと張り切っていたところだった。





「お前はシャワーを浴びてこい」

渡された、否、投げられたのは真っ白いバスタオル。

そして有無を言わさぬような視線を向けてくる秀一。

「その姿、あまり見せない方がいい」

昴に言われて気がつく。

危うく忘れるとこだった。

自分の手や顔、髪には乾いた血が、お世辞にも気持ちのいいとは思えないようについていた。

「あ、わりー....」

ハハっと、申し訳なさそうに笑う詩。

そこへ、

「気にすんな、これから俺が司令塔になっからよ」

と、殿が得意げにはにかむ。

「そして俺からの命令。

シャワー浴び終わっても、お前はここで休んでいること」

「はっ何言って....この作戦式神使ったほうが」





「アリスは使うな」




殿の、真剣な目。

そして、秀一と昴も同じまなざしだった。

詩はその威圧から、頷くほかなかった。

皆、自分を心配してくれているのだ。




「わかったよ。

ありがとう。

今日はおとなしくしておく」

ふっと詩の気が緩んだのをみて、3人は安堵する。






「櫻野、詩の処罰ってやっぱり....」

詩がシャワーへ向かったあと、殿が言った。

「この作戦が成功しても、詩の罰則は避けられないだろうな」

「だよな...」

「それまでは詩を休ませてあげたい。

今僕たちが詩にできることは、それしかない」

学園の総代表である櫻野でも、今ばかりはやるせない表情だった。






.
5/7ページ
スキ