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起死回生の一手



「―でも、葵ちゃんはもうアリスじゃないのに何で.....っ」

今度は、流架に皆の視線が注がれる。

「ルカ....」





「アリスでもないのに、これ以上彼女が学園に苦しめられるなんて、そんなのおかしい

せめて葵ちゃんだけでも、家族のもとに帰してあげたいから....

だから棗は.....っ」

流架は泣きそうな表情で訴える。

「ルーちゃん....」

「ルカ....」

―るかぴょん....





「―おい今...葵ちゃん....〝アリスがない〟って言ったか?」

詩が何かひらめいたかのように言う。

「え...あ、うん」

流架が頷く。

「殿、お前...今から速水に連絡つくか....?」

「お...おう.....てか詩、何考えてんだよ」

殿が訝しげに問う。

「ちょっと考えがあるんだ....」

皆の視線が詩に集まる。

「うまくいけば今回の件、少なくとも表面的な処罰はうやむやにできるかも....

秀、昴....協力してくんねーか?

勿論お前らには迷惑かけない」

詩は決心したような瞳で、2人を見据える。







そんな詩の瞳を前に、秀一と昴は断るなんて言葉は思いつかなかった。




―いつからだろうか.....

詩がこんなに強い瞳で僕らを、否、皆を見つめるようになったのは。

思えば、あの日から.....

そう、先生も柚香さんも学園を去ってしまったあの日から、ずっと......

僕らよりも早く大人になって、

一人で決心して、

一人で守ろうとして、

先生や柚香さんの意志をついで、





それから、







笑うようになって.......








そして今も、








「今日、こいつらがしでかした事が霞むくらいの、もう1つの事件を起こす」

真剣な表情でそう言った後、皆を安心させるかのように笑った_______








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