禁域/暴走
「―棗君てば、ここ最近おイタな行動目立ちすぎなんだよ、おバカさん☆
その度に詩ちゃんが守ってあげてたみたいだけど、詩ちゃん相当無理してるの、知らないなんて言わないわよね?
同じ仲間として、あたしたちの光として、あんたばっかりに手をかけて、ダメになってほしくないの」
―ルイ....?
お前は何を言って......
「―こんなとこまで身の危険顧みずパートナーを助けにくるなんて、かいがいしいこと」
―...蜜柑!!
それと、昴の妹に流架、陽一も....っ
「―棗君はこの先もうずっと、この花姫殿の結界地下牢に幽閉される事決定のようなもんだから」
―棗が........幽閉!?
ここに?
何を考えてるんだ、ペルソナ、否、初校長は.....
他にもこの花姫殿の地下に、棗の妹、ペルソナ、八雲、颯、のばら、翼までもの姿が確認できた。
現在の状況を確認した詩。
ルイたちにこんなことをやらせ、挙句に棗は幽閉、関係のない者たちまでも危険が及んでいる。
初校長への怒りは当に閾値を超えていた。
その頃、中等部校長姫宮は.....
「....何やら強い力がわらわの結界にふれておる....
踏み入れてはいけない領域に、とうとう踏み入れてしもうたか...」
そう呟いた姫宮に、かたわらで琴を奏でていたかきつばたこと、静音が手をとめる。
―詩....やっぱりあなたはきてしまったのね.....
同じく、姫宮のそばにいた菫の君こと##NAME1##は悲しそうな表情を浮かべる。
美しく着飾られた振袖によって、その姿はいつも以上に美しい。
しかし、その顔はすぐれない。
「どうかしたか菫の君」
姫様が##NAME1##の様子に気づき、声をかける。
##NAME1##は姫様のお気に入り。
中等部校長の側近として、常にそばにいる。
同じ結界のアリスで、その力も生徒の中では学園一。
そして何より、美しいものを愛でる姫宮にとって、その容姿は傍に置きたくなるものだった。
「いえ……何も」
そうは言ったものの、何かあるのは見て取れる。
しかし姫宮は、それ以上尋ねることはなかった。
その様子を、かきつばたは静かに見守る。
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