紅い式神/乱舞/任務
確かに、この場で息をしているのは自分だけで、この光景は自分のアリスでやったもの。
返り血を浴び、真っ赤な自分と式神。
手が、足が、全身が震えた。
その後は、どうやって外に停めてある車に戻ったか覚えていない。
あの部屋を、現実から逃げるように、飛び出したところからは、もう........
「詩、よくやった、さすがだよ。
やはり君はすばらしい」
東堂の声が車内に響いた。
なぜ、褒められているかわからない。
俺はそんな褒められることはしていない。
東堂の言葉や反応に吐き気がする。
無意識でもここまでできてしまうアリス。
初校長のもとで任務をやり続け、感覚が麻痺してしまった。
都合のいいように、現実から目を背けてしまうようになった。
こんなアリスさえ無ければ.....
こんなアリスいらない......
こんなことしたくない......
先生、俺は間違ってる?
俺は、どうすればよかったの?
先生、なんで死んじゃったんだよ.....
苦しい....
でも、こんな任務を自分じゃない誰かにやらせるほうがもっと苦しい。
あいつらには、絶対にこんなことさせたくない。
安心して、何も考えずに笑える日を、俺がつくるんだ。
先生の意思を継いで....
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