紅い式神/乱舞/任務
到着した頃には、幹部らとその部下が集結しており、早くも杯は交わされていた。
詩は式神で偵察を早々に済ませ、ビルの裏口から中へ入っていった。
―カツン、カツン、カツン.....
いつもの着崩した制服とは違い、黒いスーツをしゃんと着こなし、革靴をはいた詩。
その足音が、不気味に薄暗い階段に響く。
部下に紛れるためのせめてものカモフラージュ。
そんなものに頼る必要はないが、制服が汚れないのはよかったかもしれない。
「―――っ」
頭上から降ってきた、日本ではない国の言葉。
何を言ってるかなんてわからない。
何度も何度も何か言っているが、詩は無視し階段をのぼり続ける。
見張りの下っ端らしいということはわかる。
「―――――っっ!!」
とうとう、声を荒げた見張り役。
―相手は2人か.....
詩は、そいつらから何段か下の踊り場にいた。
相手は銃口をこちらに向けている。
しかし、詩はそれに動じることはなかった。
詩がその見張りたちを見上げたときだった。
わずかな風を切る音ともに、あたりに血が飛び散ったのは_____
―ドサッ
―ドサッ
続く、息絶えた男が転がる音。
詩の人差し指と中指には、2体の血のついた式神。
それは手に吸い込まれるようにして消えた。
―カツン、カツン、カツン......
詩は、首から血を流し、息絶えている男達の間を何事もなかったかのように通り過ぎた______
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