聖なる夜
―棗と話してて、危うく忘れるとこだった......
嫌な予感のことを.....
また、闇雲にフロアを歩き回る。
取り越し苦労なら、それでいいのだけれど......
と。
「!?」
一瞬だった.....
でも、間違いない。
あれは.......
―初校長と、ペルソナ.......
すぐ人ごみで見えなくなったが、見間違えるはずなどない。
嫌な予感とはこれのことだったのか?
なぜ....なぜここに......あんな格好で......
詩は駆け出していた。
しかし、さっき2人がいた場所にはもう、2人の姿はなかった。
あたりを見回すが、その姿はどこにもなかった。
「くそ...っ」
詩は軽く舌打ちをする。
しばらく立ち尽くしていたが、ここはダンスフロア。
そして、早くも最後の曲がかかろうとしていた。
思えば、誰とも踊っていない。
でも今更.....
そう思って殿でも探そうかと思っていると.....
「詩...っ」
ふいに後ろから声がかけられる。
振り向くとそこにいたのは、先ほど思い出していた“彼女”。
「.....##NAME1##」
詩は呟く。
このタイミングで.....
任務で学園を留守がちなこともあって、しゃべるのは久しぶりだ。
##NAME1##は、ふわふわの茶髪を後ろでまとめ、白く華奢な体に映えるドレスを着ていた。
あの頃にもまして、きれいだと思った。
「.....久しぶりに、踊らない?」
ふわりと笑う彼女。
断る理由などなかったので、頷く詩。
ラストの曲は、ゆったりとした曲調。
久しぶりの会話をし、2人の間に笑みがもれる。
はたから見れば、お似合いのカップル。
詩もこの時間をゆっくりと楽しんだ。
今だけは、この時間に身を委ねていたい。
聖夜の、この瞬間だけ、どうか______
しんしんと雪が降り積もる中、多くのカップルが甘い時間を過ごしただろう______
メリー・クリスマス
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