危険能力系の代表
みなさん!
文化とアリスの融合の祭典の幕開けです
今回は残念ながらイベント祭は諸事情により中止となりましたが、
4組の個性と多彩な技のぶつかりあいに、大いに期待します!!
上空には、色とりどりの幻覚玉が打ち上げられている。
学園中が待ちに待ったアリス祭、開幕!
「あ、蜜柑ちゃん!」
委員長こと飛田裕が、こちらに急いだ様子で駆けてくる蜜柑に気づく。
委員長の隣には、行事ごとでも遅刻ぎりぎりでやってくる蜜柑に対して呆れた様子の蛍。
「委員長っ蛍っ」
もう間もなくアリス祭が始まろうとしているのに、蜜柑は何か話したそうである。
「み、蜜柑ちゃん、特力の列はあっちだよ?」
そう委員長が教えるが、そんなことはお構いなしに、蜜柑はさきほどあった〝すごい事〟について話し始めた。
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「ええ、蜜柑ちゃんてば、プリンシパルの人たちにそんなことしてもらったの!?」
委員長は驚き気味だ。
「プ.....プリンシパル!?」
蜜柑ははじめて聞くその単語に首を傾げる。
「彼らはいわゆる〝幹部生〟組で、全校生徒の憧れの的だよ!」
委員長はそう言って説明を続ける。
「プリンシパル(生徒会)は、幹部生と補佐の幹部候補生で成り立ってて、今話してる人が初・中・高の学園総代表、櫻野さん」
「蜜柑ちゃんが傷を治してもらったっていう黒髪の人は、後ろにいる潜在系総代表だよ。兼、学園副代表」
「その隣が技術系総代表、その隣が体質系総代表、特力系代表、危力系代表____」
蜜柑は壇上を見て、驚く。
特力系代表の席には知らない顔の高等部生。
そして、危力系の代表はなんと、宿敵、棗だった。
「え、ウチ、特力の代表なんて知らへんかった....それに何で棗が代表なんか.....」
蜜柑は目をパチパチさせる。
棗のような性悪猫があんな場所に座っているのも驚きだけれど、
そもそも、自分が所属する特別能力系の代表など、気にしたことがなかったことに気づく。
「えっと....特力系と危力系は代理なんだ」
「代理?」
「うん。特力系と危力系の総代表は学園を留守がちで......それに関しては僕、よくわからないんだけど、
代表が不在の場合、こういう行事の時は代わりとして、No.2が壇上にあがって参加するんだ」
「え....棗ってばNo.2なん?」
「当たり前じゃない」
と、話に加わってきたのはクラスメイトのパーマこと正田スミレ。
「棗君は“詩先輩”に続く、危力系のスペシャルよ」
どうやら、星階級で代理を決めるらしい。
「うた先輩て......?」
蜜柑が首を傾げる。
「あらあなた、そんなことも知らないの?棗くんもすごいけど、詩先輩はまた別格よ!
アリスがすごいのは言うまでもないけど、その容姿と言ったらもう!
学園女子の人気独占!
それなのに偉そうじゃないし、幹部生、危力系の近寄りがたさがないのも魅力のひとつよね」
パーマの熱のこもった話は長引きそうなので、それとなく次の話題へ。
「ん~それにしても、あの先輩見覚えないなー」
蜜柑は記憶をたどるが特力の代表代理の先輩の顔は、まったく知らなかった。
「しょうがないよ、特力なんて落ちこぼればっかり。
高等部にもなると教室へ行く先輩なんて少なくなるはずだ」
そう言ったのは、忌まわしき正田兄。
何かと特力や危力にケチをつける、ワカメ頭。
蜜柑はそんな先輩にムッとするが、私語が神野にバレ、今にも雷が降ってきそうなことを察し、
おとなしく開会式の行われているステージ上へと目を向けるのだった_____
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