分身/パーティーの準備
蜜柑と蛍は驚いていた。
クリスマスパーティーを行う会場と、巨大なツリーに_____
「あれがアリス学園のシンボル、クリスマスツリーだよ」
蜜柑らの後ろでは、委員長がおなじみになってきた説明をしている。
「毎年あんなでっかい木、どんな手使って、この建物の中に入れてんのかなぞなんだよな―……」
委員長の後ろでは、翼が見慣れたツリーを前にそうつぶやいていた。
と、そんなところへ......
「わ...わぁっ」
蜜柑が、ツリーを見たときとはまた違った驚きの声をあげる。
そこを見れば、蜜柑の肩に式神がのっていた。
「び...びっくりしたぁ.....詩先輩、どこにおるん?」
蜜柑はあたりを見回すが、それらしき人影はない。
「ああ、詩ならここにはいねーよ」
翼がまるで、普通のことのように言う。
そういう翼の肩の上にも、一体式神がのっかっていた。
それを翼は指ではじいて遊んでいた。
「え?」
蜜柑の頭にクエスチョンマークがならぶ。
「あいつ、遠隔操作で式神操れるんだよ。てかもう、式神に詩の人格が染み付いて、詩自信は操作なんかしてないけどな......
ある程度の指示をすれば、その後は式神にまかせてるって感じらしい」
「つまりだ、詩はこの時間サボれるってこと。ずりーよなー」
そう、大げさに翼は言う。
いつの間にか、式神は増えていて棗や流架にまでちょっかいを出し始めている。
「ま、これ以外にもいっぱいこの会場にはいるさ」
蜜柑は改めて会場を見渡してみる。
注意してみると、あちこちに白くて小さいものがちょこちょこと見えるのがわかった。
蜜柑はそれに微笑み、改めて詩のアリスのすごさに感心するのだった。
―詩先輩て、やっぱりすごい!
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