高等部の“穴”
―噂?
―大昔にその当時の高等部の生徒で.....な何つったっけ?
時空の歪み?を作れる力を持った奴がいて.....
その歪みで出来た穴を通れば、結界に引っかかる事なく外との出入りが自由にできるとか何とか......
勿論今現在、そんな穴高等部にあるわけねーんだけど......
噂では、その生徒とけったくした呪術使いのアリスが穴を隠したから見つからないだの何だので......
その穴の在り処を呼び出す方法が書かれたノートが、今でも高等部のどこかで眠ってるっていう噂だったんだよなあ.....
―まあ、こうゆう事に関しては、詩のが詳しいから。詩に聞けば何かわかるかもしんねーけど....
あいつはやっぱ任務みたいだし。
てっきり特力の教室に何とかしてくると思ったんだけど、こないってことは俺に丸投げかよ、あいつ。
呆れつつもそれが詩らしいといえばそう。
長いこと詩といればなんとなく考えていることもわかる。
―〝蜜柑のこと、ヨロシクな〟
そう言ったのは、〝蜜柑を1人にするな〟という意味だと解釈し、殿は蜜柑を特力に連れてきていた。
そしてさらに、“あること”を思いついてしまったことを後悔するが、もうあとには引けない。
詩は確かに、蜜柑に何かを感じている様子だった。
それが何かまでは教えてくれなかったけど、殿にも蜜柑に対して感じるものはあった。
この蜜柑という小さな女の子にみえる不思議な希望。
何かが変わるんじゃないかという、根拠のない予感。
何よりも、まっすぐと見つめるその瞳に目をそらせなくて。
俺なんかよりも、ずっとずっとたくさんこの学園の闇をみてきたお前に、蜜柑はどう、映ってるのだろうか.......
直感でしかないけれど、この賭け、俺も乗るよ。詩。
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