確かめる想い
詩はそっと##NAME1##から手を離した。
これ以上は、自分の決心が揺らぎそうだ。
早く、2人で時間など気にしないで笑いあえる日が来るように、俺にはやることがある。
「じゃーな」
詩は最後にもう一度いつものように、ふわりと笑って##NAME1##に背を向けた。
「詩....っ」
呼び止めようとしたが、それ以上の言葉は出てこなかった。
でもそこで、ポケットに何かあたたかく質量のあるものが入っているのに気がついた。
##NAME1##は、なんだろうと、ポケットに手を入れた。
途端に、涙が溢れ出した。
静かに、だけど今までに無いくらいに一気に涙が頬を伝った。
##NAME1##が、声を押し殺して泣いているのが背中ごしにわかった。
だけど、詩は歩みをとめることはなかった。
また、##NAME1##を泣かせてしまった。
つくづく最低だと思う。
でも、今の自分にできることはこれくらいしか思いつかなかった。
##NAME1##は1人、廊下に立ち尽くしていた。
手には、深い藍色のアリスストーン。
ポケットに入っていたそれは、抱きしめられたときに詩が忍ばせたもの。
また詩は、私が嬉しがることをすんなりとやってみせる。
詩の結晶は、とっても温かかった______
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