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危力系集結



「なんか久しぶりだな、棗」

詩は伸びをしながら言う。

途中でのだっちとは別れ、詩は本部の廊下を棗と2人で歩いていた。






「背伸びた?」

詩は棗の頭に手を置き、からかう口調で言う。

こんな張り詰めた状況でも、こうやって空気を緩ませるのが彼らしい。

さらに、この学園でこんなふうに棗に接することができる人も珍しい。

「...近い」

案の定、棗は素っ気無い態度で詩をよける。

いつもどおり、不機嫌そうだ。






「.....お前の距離感、どうなってんだよ。

蜜柑にもベタベタ触んな....」

「え...?」



思い当たる節がなさすぎて、奥の手を使う詩。

本心を隠す棗と会話するとき、手っ取り早く核心にふれるやり方だ。





「....!....え、まじ!?

あれだけで?

蜜柑の頭撫でただけじゃん!」


本当に、心底驚いてる様子の詩。

でも、いろいろ察してにやにや顔。

またいいオモチャを見つけたとでも言わんばかり。



「翼といい、おまえらこじらせてんねー」




そういう詩の手には、式神があった。

きっとそれは、気づかないうちに詩によってつけられたもの......

「てめぇ...」



―ボッ....



いきなり、詩の手元に火がつく。

そして、式神を跡形もなく燃やし去ったのだった。

「あっつ!ばっ...てめぇこのやろっ

容赦なさすぎだろ...」

詩はわーわー騒ぎながら、ぶんぶんと手をふりまわし、熱を冷ますのだった。








「ふーん、蜜柑ね.......」

詩は棗の隣を歩きながら、感慨深げにぽつりとつぶやいた。

まさか、あの棗の前にそんな感情を抱かせる子が現れるなんて...




出会った当初は、見るものすべて敵かのような、人でも殺しそうな目つきをしていたというのに...





自分と同じような境遇をたどっているがゆえに、目をかけ心配していた。

しかし彼もまた、年相応の男子。

そんな一面がみえて、少しほっとしたような気持ちになった。




棗、お前はまだまだ強くなるよ.....




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