確かめる想い
皆が寝静まった深い夜。
怖いくらいに静かで、小さな音でも大きく聞こえる。
バッグをあさる音や、部屋を歩き回る足音までも。
それらが終わって、一気にファスナーを閉める音なんかいつもの何倍にも聞こえた。
「ふぅ...」
詩は小さいが、この空間では大きく聞こえる溜息をつき、
ザッ...
と音をたてながらバッグを肩にかける。
―パチン....
部屋の電気を消し、しばらく戻らないであろう部屋をあとにした。
これから、無期限の長期任務。
今夜出発だ。
1年に1回はあることなので、珍しいことではない。
安積柚香の件は一旦外され、国の裏の仕事にまわる。
詩はこの歳にして、国の裏仕事では名の知れたアリス。
久遠寺の考えていることはわかるが、やはりこの時期に学園を留守にするのは不安が残る。
静かに暗い廊下を歩く。
月明かりが差し込み少しだけ明るい窓際に、人影が見えた。
待ち合わせていたその影にそっと呼びかける。
「##NAME1##」
「詩...」
「ごめん、待たせた」
「ううん、大丈夫」
##NAME1##はすべて悟っているかのような、寂しそうな顔をしていた。
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