銃口の先/望まぬ再会
詩は、病室から出てきた蜜柑にかける言葉が見つからず、その小さな頭に手をおいた。
「あーいたいたチビちゃん」
「あ、佐倉さーん」
この場にそぐわないテンションと声色。
「殿先輩.....のだっち....っ」
蜜柑は少々驚いている様子で呟く。
「よー詩、お前もここにいたのか」
「まーな」
殿とは軽く言葉を交わした。
「君達2人の勝手な行動に対する処罰は今の所保留。
決定するまでは寮でしばらく謹慎とのことです」
のだっちが蜜柑へと言う。
「....まったく、チビのくせにえらいもんにまきこまれやがって......大変だったな」
殿は蜜柑を抱き上げ、珍しく先輩っぽい口調で言った。
蜜柑はそれにまた、泣きそうになり俯くのだった。
「―あ、そうでした」
と、急に思い出した様子ののだっち。
「日向君、詩君。
本部にて危険能力系参加の緊急会議があるとのことで、君達に直ちに本部に向かうようにことづかりました」
今後の事態に備えて危険能力系、Z征伐部隊出動要請の会議ってとこか。
こんな時でも冷静な自分、修羅場に慣れてしまった自分。
一方のみんなは不安げな顔。
「何それ.....何で棗が.....」
流架がまっさきに反応する。
しかし棗は詩と同様、どうってことないように、その場を離れようとする。
「棗」
流架の心配そうな声。
それに立ち止まり、のだっちのほうを向く。
「.....行かなけりゃ、どうせヤツがここまで連れに来るって算段だろ」
わかりきったように棗は言う。
「....では殿内君、僕は彼らを本部まで送り届けますので、佐倉さんの方宜しくお願いします」
のだっちは殿に向き直り、言うのだった。
「蜜柑のこと、ヨロシクな」
詩は殿の前を通り過ぎるときに、意味ありげに言った。
「わーってるって」
と、にやりと笑う殿。
2人は互いに、意味ありげな目配せをしていた。
それから詩は、のだっちに連れられ棗と本部へと向かった。
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