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希望/要がみる世界



「詩先輩っ」

蜜柑は驚きながら、目の前にいる人物の名前を言う。

「なんでここに....」

「助けにきたんだよ、ほら行くぞ」

詩は、蜜柑に手を差し出す。

蜜柑はその手につかまり、立ち上がる。

そばには、蜜柑を捕まえようとした中等部生が腰を抜かしていた。






―ちょっとやりすぎたか.....





詩が放った式神は、ちょうど中等部生の鼻の先をものすごいスピードで通り抜けたのだ。

「お前もちょっと考えればこんなのデマだってことくらいわかんだろ?

ほら、大丈夫か?」

詩は中等部生にも手を差し出す。

しかし中等部生はその手につかまることなく、

「すいませんでしたっ」

と言ってそそくさとその場を去っていった。

この場はおさまったかのように思えた。






しかし.....





―バッ.....




何か鈍い音が聞こえた。

その音のしたほうをみて、詩と蜜柑は目を見張る。





「まだいたのか?!」




詩はそう言って、そこへ駆け寄る。

そこには、木にささったベアの姿があった。

ぬいぐるみのそのおなかからは、綿が出てきていた。

他の中等部生たちが、ベアと組み合っていたのだ。

そのさなかに起きた事故。

中等部生たちは、今度こそ、「やっべ」と言いながらその場を去っていった。






「ベア!」






蜜柑が涙を溜めて駆け寄ってきた。









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