希望/要がみる世界
午後最後の授業を終え、詩はのびをしながら廊下を歩く。
最後まで授業を受けたのは久しぶりだ。
何かと理由をつけてサボっているのもあるが、任務で授業に出られないことのほうが多い。
そのおかげで、授業にはまったくついていけない。
というか、詩自身勉強は苦手だったので、教室にいても特等席の一番後ろの窓際で寝るだけ。
そんな姿を見慣れたのか、詩らしく思うのか、クラスメイトや先生はそれについて何も言わなかった。
欠伸をしながら、ダルそうに歩く詩。
その後姿を見つける##NAME1##。
授業が終わってから詩に話しかけに行こうとしたが、詩はすぐに教室を出てしまっていた。
人ごみの中、やっと後姿を見つけた。
あの、ミルクティー色の髪と、大きく感じる背中。
その後姿を見るだけで、学校にその姿があるだけで少し安心する。
駆け寄って、「詩」と呼びかけようとしたが、ぐっとその言葉をのむ。
詩が、何か感じたかのように、ピタリととまったのだ。
とまっているのは詩だけで、まわりは変わらず動いている。
そして、何かを決心したかのように、さっきのダルそうな様子はどこへやら、足を先に進めた。
急いでるようだ。
また、いっちゃう.....
そう思うと、なぜかいてもたってもいられなくなって、その背中を追いかけていた。
「詩っ」
その声とともに、誰かに腕を掴まれた。
反射的に振り向く。
「.....##NAME1##」
驚いた様子で、詩は私を見つめた。
「どうしたんだ急に」
詩の声にはっとして、我に返る。
「あ、急いでるなら別にいいんだけど」
「なんか、あった?」
詩は真剣に見つめてくる。
「ううん、やっぱりいい。
また時間あるときで」
##NAME1##の微妙な表情に、何か察した様子の詩。
「わりーな、心配ばかりかけちゃって。
##NAME1##ともちゃんと、話すから。
中途半端にしないから」
詩には見透かされているようだし、詩もまた、気にかけてくれているのがわかった。
「うん、待ってる」
そう言って、また詩の背中を見送った。
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