銃口の先/望まぬ再会
担架で運ばれる蛍を前に、パニック状態の蜜柑を抱きかかえるように立たせ、病院へ向かう車に乗せた。
車内で交わされる言葉はなく、蜜柑は目に涙を溜め、詩は厳しい表情で外の流れる景色を見ていた。
病院に着いたのは、昴とほぼ同時だった。
「....すまない、俺がいたのにこんな____」
顔を伏せる詩。
合わせる顔がない。
「お前のせいじゃない」
治癒のアリスをもつ昴は一言だけ言って、手術室へと入っていった。
「東雲くんも、手当てをするからこちらへ」
看護師が処置室へと声をかける。
―怪我なんてしてな....
体中を見回し、自分で驚く。
火傷とかすり傷があちこちにあった。
必死で、気づかなかった。
治療後、事情聴取を受け手術室に向かうと、ちょうど手術が終わったところだった。
初等部のクラスメイトたちも今きたようすで、鳴海や岬、棗もいた。
みんな、緊張した面持ちだった。
鳴海を含めた先生方は医者からの説明を受けるため別室へ。
蜜柑らは昴引率の元、蛍の面会をしていた。
詩は、式神を両部屋に忍ばせた。
―弾道は直接命に関わる事はなく、弾も無事摘出しました......
―しかしその弾に特定できない新種のウイルスが混入されていて.......
―ウイルスは恐ろしい速度で増殖していて予断を許さない状況です......
聞いた瞬間、驚きと怒りと、よくわからない感情が自分の中で渦巻いた。
―何でこんなことに....っ
病室に忍ばせた式神からは、蜜柑の自分を責めたてる感情が痛いほど伝わってきた。
―....あの時、蛍はウチをかばって撃たれた......
.....ウチのために......
誰も予測できなかったとはいえ、こんなの、蜜柑がかわいそうだ。
もちろん、何よりも、今生死をさまよう蛍が一番の被害者だ。
詩はやり場のない思いを抱え、自分の無力さを呪った。
自分で、うまくやると言ったのに.....
詩もまた、自分を責めていた。
柚香さん、あなただってこんなこと望んでいるはずがないのに_____
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