逆境
盛り上がる応援合戦、そこで思わぬ事件が起こった。
紅組のパフォーマンス後半。
天と地のWダンス。
初等部生が念力のアリスによって、空に浮かんでいた。
もちろん、蜜柑も。
「「わ....」」
途端に、ざわつく場内。
空気が凍りつく。
地上にいた詩もいち早くその異変に気付く。
「蜜柑....!」
蜜柑がなぜか落下してくる。
隣にいる##NAME1##は、口をおさえ驚愕の表情だった。
蜜柑の受け持ちの念力能力者は?
あたりをみまわすと、秀一がその念力能力者の腕をつかんでいた。
秀、!
間に合え!!!
間一髪、蜜柑は地上から30センチくらいのところでピタリととまった。
その下に、詩の式神が入り込み、クッションの役割となって蜜柑を受け止める。
##NAME1##の結界のおかげで、間に合った。
蜜柑の頬から冷や汗がしたたりおち、蜜柑はその場で気を失った。
慌しく人が動く中、あの人が不適な笑みを浮かべるのが見えた。
詩は苦々しげに唇を噛みしめる。
「くそっ....」
そんな詩を、##NAME1##は心配そうに見つめるのだった。
「―詩、校長がお呼びだ」
##NAME1##とともに、蜜柑のいる救護室へ向かっている途中、初校長の側近に呼び止められ、そう告げられた。
「詩....」
##NAME1##が心配そうに見つめる。
「##NAME1##、ごめん。
さきに蜜柑のところへ行っててくれ」
「でも.....」
##NAME1##は、繋がれた手錠をみる。
詩と、離れたくない。
詩を一人で行かせたくない......
「詩、私も一緒に」
いいかけるが、
「それはだめだ」
詩は厳しい口調で言う。
そして、コキっと音がしたかと思うと、手錠から詩の手がするりとぬける。
関節を意図的に外したらしい。
「詩....っ」
呼び止めるも、続ける言葉が見つからない##NAME1##。
「俺は大丈夫、すぐ戻る」
いつもの詩の笑顔だ。
その笑顔に安心してしまう。
##NAME1##は困ったように笑うが、頷いた。
やっぱり詩は、もうあの頃よりも遠くの存在なんだ_____
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