逆境
午後最初の競技は、借り物競争。
詩と##NAME1##は出場することになってはいなかったので、客席で競技をみまもる。
例年どおり、盛り上がりをみせる借り物競争。
そして、今年注目を集めたのは、定番人気キーワード〝好きな人〟があたった、中等部生。
「あれ?あのこって......初等部じゃない?」
##NAME1##がつぶやく。
「え、あれって蜜柑じゃん!
あの中等部生誰だ?」
詩は驚いたように言う。
でも、あとからなんとなく納得したような表情。
―棗.....
「お前も、素直じゃねーな.....」
詩は、ひとり言のようにつぶやく。
そこで自分もそうだったと、思い直す。
見つめる先は、隣で赤組に声援をおくる##NAME1##。
俺は、簡単に決断しちゃいけない.....
中途半端な決意だと、また##NAME1##が辛い思いをするだけ。
久遠寺の言葉、翼の危力行き、月の存在。
周りをとりまく環境は厳しいものになりつつある。
今後、自分も学園もどうなるかわからない。
##NAME1##を巻き込むことだけは、絶対に避けなければならない。
好きだからこそ、言えない。
守りたいからこそ、傍にいれないんだ。
詩と棗。
伝えたいことを押し殺すしかない2人はやはり、似ているのか。
運命に抗う力は、果たしてあるのだろうか_____
―体育祭も終盤戦
次は体育祭の華、応援合戦!!
白組の、例年にも劣らぬ見事なパフォーマンスのあとは紅組の番!!
『紅組の応援パフォーマンス開始ーっ!!』
アナウンスの声とともに、紅組のパフォーマンスが始まった。
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