逆境
午前の部は、障害物競走をもって終了!
今はお昼休憩。
各々が自由な時間を過ごしていた。
詩と##NAME1##は障害物競走のおかげで見せ物状態。
何とか人目につかないところを見つけ、そこで昼食をとることにした。
2人きりになって落ち着くと、他愛もない話で盛り上がる。
こうゆうときはいつだって、詩が話を盛り上げ、##NAME1##は常に笑いが絶えなかった。
「左って食べづらいなあ」
##NAME1##が箸を動かしながら言う。
手錠でつながれている利き手の右が使えないので、うまく食べ物がつかめていなかった。
そこに、##NAME1##がつかもうとしていた具を詩がひょいっととる。
「あ、詩ー」
##NAME1##は、いじわるーと言う。
「ほらやるよ」
詩は当たり前のように##NAME1##の口元に食べ物をもってくる。
「えっ....」
##NAME1##は戸惑うが、詩がせかすので、口を開けた。
照れくさかったが、嬉しさもあった。
それよりも、詩のほうがなんだか嬉しそうに笑っていた。
あの頃に戻ったみたいだ。
そんな時間が過ぎていくが、##NAME1##は少し複雑な気持ちだった。
詩とは、あのバレンタイン以降まともに話したのは初めてだった。
詩は最近なんだか急がしそうで、話しかけるのが躊躇われたし、あまり姿を見かけることもなかった。
だから、今回のことはすごく嬉しいのだけれど.......
詩の口からはまだ、バレンタインのときの続きをちゃんと聞いていない。
それどころかなんとなく、詩自身がその話題にふれないようにしているように見える。
詩は、何を考えているのだろうか......
わからない。
そんなことを思いながら、弁当をおいしそうに食べる詩を、時折見つめるのだった。
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