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障害物競走



『出ました!!〝コスプレ回転ドア〟です!!

障害物競走史、人気No.1の恒例お楽しみトラップ!!』

解説により、これまた観客は大盛り上がり。






しかし、選手達との温度差はこれまた半端でない。

詩はがっくりとうなだれる。

―今年もきたか.....

そう、詩がこの競技に出たくない一番の理由がこれなのだ。

去年は任務で参加できなかったとして、

おととしはメイド服。

その前の年はセーラー服。

その前の前の年はナース服。

などと、なぜか詩が入ると女装になってしまう。

詩は悪意を感じるが、その思いとは裏腹にそれが皆に好評だったりする。

さて、説明はここまでにして、詩くんにさっさと入ってもらいましょう。






詩はうなだれながらもドアをくぐる。

『さて、毎年期待度大の東雲詩の女装コスプレ!

今年は何か?!

皆さん、ここは言わなくてもカメラを構えていますね~』

そんな解説の声が響く中、ドアは開く。

『おおーーーっと東雲詩、出てきましたぁ!

さて、今回は.....アレ?!』

会場中がなぜか、がっかりムード。

しかし詩のほうは安堵の表情。

それもそのはず。

詩の姿は入ったときと変化がない。

『なんということでしょう?!

まさかのコスプレなしぃ?!

.....あ、いや!

待ってください!皆さん!

落ち込むのはまだ早い!

東雲詩の左手をみてくださーーいっ』







詩も、解説の声で初めて気付く。

それと同時に、観客も沸いた。

詩の顔色はだんだんと悪くなっていくのだった。





『なんと!東雲詩の左手には運命の赤い糸ならぬ、運命の赤い手錠!

分からない方のためにご説明しましょう!

この手錠は、いわゆる〝好きな人〟と自分をつなぐ手錠!

これが出た場合、詩くんには好きな異性を連れてきてもらって、次のバトンパス地点まで一緒に、手錠でつないで走ってもらいます!

なんとタイムリー!!

詩くんにはバレンタインで話題になったあの人がいるじゃありませんか!!』








―なにーーーっっ








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