銃口の先/望まぬ再会
式神の大群は、分散し、それぞれ3人を襲う。
しかし、それが当たることはない。
それどころか、銃を撃とうとする特殊部隊の視界を遮っていた。
よけてくれると信じてコントロールしつつ、際どいところを狙う。
細かいコントロールは、結界が補ってくれる。
式神のスピード感に惑わされ、みんなには攻撃に見えているが、実際は違う。
3人は式神に追いやられるように逃げ、一点に集まった。
すべては、詩の計算どおりだが、誰も疑いはしない。
3人を取り囲むように式神が攻撃しようとしたとき、3人の姿はテレポートにより、ふっと皆の目の前から消えた。
目標を失った式神たちは、互いにぶつかり合い消滅した。
「テレポートだ!奴らはまだ学園の中だろう!追うんだ!」
司令官らしい人の声が響いた。
―逃げてくれ。これが俺のできる、精いっぱい。
詩は切に願った。
「詩、千里眼もやってもらってるが、式神でも追跡をたのむ」
「了解」
また式神たちが姿を現し、今度は四方八方へ飛んでいき、学園のあちこちに飛来した。
神経を集中させて式神と共鳴し、どこかに人の気配がないか探る。
生徒は外出禁止令で外にはいないはずなので、必然的に人の気配があるところが3人の逃げた場所ということ。
しかし......
詩は目を見開き、顔をあげる。
―蜜柑....っ!?
確かに、あれは......!
そしてもう一人、見覚えのある生徒の姿。
見間違えるはずなどない。
そして、さらに驚く。
―柚香さん.....!
「なんでそこに....!」
偶然にも、侵入者と蜜柑らはかなり近くにいたのだ。
見つけても報告しないつもりでいたが、気が変わった。
彼女らは武器を保持している。
万が一のこともあり得る。
そしてあの距離で接触は不可避だ。
生徒の...蜜柑の身の安全が最優先...
俺が強くなった理由のひとつ...
これは、俺が守りたいもののため...
意を決して詩は言った。
「ここから200m南西に侵入者2名と容疑者の姿を確認」
「!」
特殊部隊たちは情報の速さに驚きながらも頷く。
「すぐに向かうぞ」
司令官の合図と共に、あちこちでテレポートの音が聞こえる。
詩も、近くのテレポート能力者とそこへ向かった。
―ザァ.....
「!」
―いた....っ
詩は特殊部隊に合図する。
すぐに特殊部隊は銃を構える。
―頼むから、最悪な事態だけは避けてくれ.......
なぜか、先ほど...いや...アリス紛失事件の話をきいた時からずっとだ...変な胸騒ぎ、嫌な予感がして収まらない。
そしてこういうときの勘は、よく当たるもので....
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