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準備運動



「―体育祭の予行練習をはじめまーす。

紅組 白組グラウンドに整列ー」

そう呼びかけられて、体育着に着替えた初等部生たちが続々と、グラウンドに集まってくる。

そこでは毎度おなじみの盛り上がりよう。

体育祭がはじまるドキドキワクワクとはまた違った感じ。

だとすれば.....







「わーっ詩先輩だぁ」

「やったぁ」

「かっこいーっ」







そんな賑わいのとおり、教育実習生の中には詩の姿。

「詩、今年は教育実習はとってないんじゃ?」

櫻野が不思議そうにたずねる。

「ま、急きょ決まったってやつ」

こっちのが授業よりラクだしな、といつもどおりの詩の理由。

一同マイペースだなと思う中、半分違和感を感じているのが正直なところだった。







そしていよいよ恒例の実習生による、体育祭のルール説明。

やはりアリス学園ということで、普通の体育祭のルールとは少し事情が違う。

スリーカウントシールによるアリス使用の規制があるのだ。










「詩、体のほうは大丈夫か?」

昴が心配そうに聞いてくる。

「ま、見えるところは昴の石でなんとか」

詩は苦笑い。

「心配かけて悪いな」

詩は頭をかきながら言う。

「お前、今回も何かあるのか?」

今回も、とはこの教育実習のことだろう。

昴が聞くのも無理はない。

後から教育実習が決まるなんて珍しいこと。

それも専科1年で。






「悪いけど、今は言えない」

最近の詩はひどく疲れている。

時々みる表情にもそれが見て取れる。

彼なりに、いろいろ抱えているのだろう。

「そうか。

何か力になれることがあったら言ってくれ。

それは櫻野も一緒だ」

だから、自分にかけれる精一杯の一言。

「うん、わかった」

昴の気持ちは十分わかっている詩。

いつものように笑顔で返す。







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