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新学期



―夕方

もうすぐ日が暮れそうで、窓から差し込む光もわずかとなった頃。

詩は任務から戻り、本部にいた。

罰則で体はボロボロだったが、任務を断る事はない。

自分が断れば、誰か必ず、自分の代わりになるとわかっているから......









静かな廊下を、ポケットに手を突っ込み歩く。

―確か今日、秀たちは教育実習で初等部にいったんだっけ。

なんて思いながら足を進める。

前方に見覚えのある姿が見えた。

「ナル....?」

小さく呟く。

鳴海は、初等部の女の子を隣に連れていた。

―あんな子、いたっけ?

少なくとも、本部に出入りするような子の中にはいないはず。

徐々に近づくにつれて、その容姿がわかってくる。

そして、詩はピタリと足をとめる。





―知ってる......前に、会ったことがある....?





相手も詩の前で足をとめた。

「詩、久しぶりね」

初等部の子に呼び捨てにされても違和感がなかった。




―思い出した.....





「......月先輩、ですか?」

「ええ、よくわかったわね。

それにしても、見ない間に随分と大人っぽくなって」

口調や雰囲気こそ、彼女なのだが、やはり違和感はある。

「なんでこんなところに.....それにその格好......」

詩はおどろきを隠せないでいる。

まだ頭の整理がつかない。

―なぜ、あなたがここに.....?

「フフ....仲良くして頂戴。

詩先輩」

そう不適に微笑むと、鳴海と2人、詩の横を通っていった。

鳴海は終始感情の読めない表情を保っていた。

2人の足音が去ってからも、詩は動揺していた。







―月先輩、あなたは何をしに.....?







詩の頭に今までにない不安がよぎった________








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