脅し/初校長のもと
「―このまま、〝何も知らない〟の一点張りにする気ならそれでもいい。
こちらとしても考えがある」
そう言うと、近くの者になにやら指示を出す。
しばらくすると、
―ガチャッ
静かに扉が開く。
登場した者に、その場にいた者皆が息を呑む。
「詩っ」
そこには、罰則のあとなのか、上半身裸で傷だらけの詩の姿。
その両脇を、支えるように黒スーツの男2人が付き添っていた。
詩はぐったりとしていて、歩くのもままならない状態。
男2人が引きずるようにして連れてくる。
今まで平静を装っていた鳴海も険しい顔をし、危力系の仲間も心配そうな表情を見せる。
「詩...」
殿は駆け寄ろうとするが、まわりの黒スーツの男達に制される。
しかし、詩のほうは呼びかけられて気づいたのか、顔をあげる。
そして、驚いたような顔をする。
「殿...なんで....こんなところに....」
小さくかすれた、力ない詩の声。
「詩こそ、なんでこんな...」
「彼は君のように何も話してくれないんだ。
それどころか最近、こちらに反抗的な態度も見せるからね」
初校長は鋭い目で詩を見つめる。
「詩、少しは反省しただろう。
話す気にはなったか?」
「....なせ」
小さく詩が言ったが聞き取れない。
.