新しい感情(回想)
「―ねぇ、なんで泣いてたの?」
ふいに詩が言った。
その視線はもう天井を見つめていた。
「べつに言いたくなかったら言わなくていいんだけど」
詩はそう言ったが、##NAME1##は話し始める。
なぜか、詩に聞いてもらいたくなったのだ。
自分が学園に来た理由、
病気の母親、
寂しくなると寮内を歩き回っていた事........
「お母さん、昨日の詩くんみたいな発作......
あ、詩くんのはそういうのじゃないんだと思うけど、
あーゆう発作がおきたとき、決まって入院するの。
しばらく家には帰ってこなくてね、いつももう帰ってこないんじゃないかって思うと怖くて.......
たまに、苦しそうなお母さんの夢をみるの。
それと詩くんが重なって、よくわかんないけど、怖くて......」
最後は消え入りそうな声だった。
―ぼふっ
詩は突然起き上がり、##NAME1##に向き直る。
「―俺は死なない。
俺はいなくならない。
絶対......!
お前の母親も、絶対いなくならない。
お前が信じなくてどうする」
##NAME1##を真正面から見つめる詩の瞳は、真っ直ぐで、強い目だった。
##NAME1##はその瞳に釘付けになる。
そして、心が軽くなったように感じた。
詩自身も、自分に言い聞かせるように言っていた。
「ありがとう」
やっと出た言葉は、心からの感謝の言葉______
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