新しい感情(回想)
苦しそうな詩に駆け寄った時、詩は立っていられなくなったのか、そこにうずくまる。
「大丈夫?!」
そう、顔を覗き込んで問うたときだった。
##NAME1##ははっとし、息を呑む。
「っだから、見んなっつったろ.....ハァ、ハァ、ハァ」
そう言った詩の顔や髪には、べったりと血がついていた。
「きもちわりーだろ、もう行け...」
詩は、睨めば自分から離れるだろうと、##NAME1##に鋭い目を向ける。
しかし、それは一瞬でゆるんでしまう。
「....お前、何泣いてんだ?」
詩は戸惑いながら言う。
「え....私....」
##NAME1##はそこで初めて自分が泣いていたことに気づく。
「ごめんな...さい....」
そこから、なぜか涙は堰を切ったように溢れ出す。
目の前にいる彼を困らせたくないと思うのに、涙はとまることを知らなかった。
そして、そのあたりから##NAME1##の記憶はなくなった。
―次の日
##NAME1##はベッドの上で目を覚ました。
でも自分の部屋ではなく、見覚えのない部屋。
見る限り豪華で、星階級がシングルの自分の部屋とはまったく違う。
そう思っているところへ、ふっと詩が姿を現した。
ジャージは履いているものの、上半身が裸でタオルで髪をふきながら、シャワールームから出てきたところだった。
同い年とは思えないほど、筋肉質な体......
瞬間的に##NAME1##は目を逸らす。
「起きてたんだ......」
詩は少し驚いたように言う。
しかし、顔を逸らす##NAME1##をみて、
「わりー、今着替える」
と、髪を拭いていたタオルをほうり、そこらへんにあったトレーナーを着る。
そして、##NAMME1##のいるベッドにすとんと腰掛ける。
その間に##NAME1##は、昨日の夜のことを思い出す。
昨日、泣いている##NAME1##を詩は何も言わず自分の部屋につれていき、##NAME1##は泣き疲れて........
「ねぇ、なんで私をここに連れてきてくれたの?」
素朴な疑問を口にする。
「別に....お前のこと1人にしたくなかったから」
顔を合わせることなく詩は言う。
「なんか、ごめんね」
##NAME1##はうつむく。
「あやまんなよ。お前なんも悪くねーし、
俺が勝手にしたことだから」
そう言いながら、詩はぼふっとベッドに身を仰向けに沈める。
「ふふっ.....ありがとう。
詩くんて、見かけほど怖くないんだね。
むしろすごく優しい人」
##NAME1##はくすくす笑いながら言う。
「は?何言ってんの」
詩はそう、はぐらかす。
「てかお前、そっちのがいいよ」
「え?」
##NAME1##はきょとんとする。
「笑ってたほうがいい」
詩は寝たまま##NAME1##の顔をじっと見つめる。
##NAME1##の顔が、少しだけ赤く染まった________
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