新しい感情(回想)
―##NAME1##と詩が初めて言葉を交わしたのは、初等部のときだった。
##NAME1##は8歳のときに学園にきた。
母親が病気で、国からの給付金目当てに親戚の強いすすめで入ったのだった。
しかし母親のほうは反対だったし、もちろん##NAME1##も母親と離れるのは嫌だった。
学園に来た当初は寂しくて仕方なかった。
そんな時、##NAME1##は詩と出会った_____
―ある夜
無償に寂しくて寝れない日、##NAME1##はよく自分の部屋を抜け出して、寮内を歩き回っていた。
暗かったけれど、不思議と怖くはなかった。
この日も##NAME1##は、自分の部屋を抜け出そうと、部屋を出たときだった。
―ドンっ
「ひゃっ」
誰かとぶつかり、声をあげてしまった。
瞬間的に寮母のタカハシさんだと思い、部屋を出ようとした言い訳を頭にめぐらせる。
しかし.....
「大丈夫かよ」
その声も口調もタカハシさんとは全く違った。
恐る恐る顔をあげようとすると、
「見んな」
静かな声が響く。
少しぶっきらぼうな声だった。
「え...」
##NAME1##が顔をあげるのを躊躇ううちに、声の主は背を向けその場を立ち去ろうとした。
「ま....待って!」
顔を上げ、暗闇の中やっと見える程度のシルエットに呼びかける。
そのシルエットはピタリととまる。
「詩くん、だよね?なんでここに」
そこまで言って##NAME1##は口を閉ざす。
詩のようすがおかしいことに気づいたのだ。
息が荒く、苦しそうにしているシルエット。
慌てて駆け寄ろうとするが、
「来るなっ....ハァ、ハァ、はっぁ」
そう、##NAME1##を制す彼。
しかしそんな言葉は##NAME1##に届いてはいなかった______