バレンタイン
詩は反射的に##NAME1##の手を掴むと、走り出す。
「ちょ、ちょっと詩?!」
##NAME1##は詩に引っ張られながらも呼びかける。
「早くこの場所離れるぞ!」
「え...?」
「誰かに見つかったらやばいんだよ」
そう、詩が溜息まじりに言ったときだった。
―ピンポン パンポーン.....
『全校の皆さん、速報です。
只今初等部校舎裏にて、ターゲットNo.1東雲詩くんの目撃情報がありました。
繰り返します。只今初等部校舎裏にて.....』
「っ!!」
詩の顔が引きつる。
「やべー終わったー!」
溜息をつく詩に、##NAME1##は苦笑いするしかなかった。
そして2人とも、バレンタインの恐怖を改めて思い知るのだった。
そんな2人のまわりには、すでに人が集まり始めていた。
とりあえず、必死に逃げる詩と##NAME1##......
「詩くーんっ!チョコ受け取ってーっっ」
「詩せんぱーい!待ってぇ~」
「詩くん、隣の女だれよーーー!」
「まじ勘弁だよ....」
そう、ぼやく詩だった。
そんなとき.....
―ピンポン パンポーン
『引き続き情報をお伝えします。
ターゲットNo.11・12スクープ高値、豚鼻殿内明良・安藤翼
南校舎 南西方面に向かおうとしています。
恨みのある方は存分にお写真どうぞ~
他ターゲットNo.3日向棗君 北校舎2F......ルカ君.....
岬先生は空の上に避難~.....』
―情報提供者ぶっ殺す!
学園中の男子の心が1つになった瞬間だった........
そして、詩と##NAME1##は逃げ回るうちに人通りの多い開けた場所へ来てしまう。
偶然、そこには殿や翼、棗や流架もにげてきたところだった。
前からも後ろからも生徒、否、敵......
そしてその場で棗に何が起こったかは言うまでもないだろう______
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