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兄弟に憧れる男と、大家族に疲れる女。
家族なんて邪魔なだけ。
耳鳴りの家。
(知ってる?静かすぎると、たまに耳鳴りがするんだよ。)
「クーラーつけようよ。」「うるさい黙れ扇風機で十分だ。」「アイス何味にする?」「バ…牛乳。」「…意地でも横文字使わない気か。」
決めたんだ。帰ったらプロポーズするって。
もう何年もたつのに、あいつの死が受け入れられないんだ…。また悪戯じゃないかとか…ひょっこり、あそこから出てくるんじゃないかとか…。そんなことばかり、考えてしまう。
あいつを俺から解放してやってくれ。
生者が死者に固執すると、「未練」となって現世に留まる。上にいきたくてもいけない。死者を死してまで、追い詰めてやるな。
わたしはだれ?
玉の果て。