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あの子に優しくしたいのに、できなかったよ。
今だけ。あたたかい腕に身を預けるのは、今だけ。
「暗殺仕事もラクじゃないわぁ。転職しようかしら。」「無理ですよ。」「何で。」「暗殺は、先輩の天職ですから。」
彼の使命を、新しい夢にして。
いいか!使命ってのはな、「使いきれ命」の略なんだよ!どんどん削ってすり減らしてこい!
あいつと向き合うべく、自分の罪にケリをつける。
風のように現れ、風のように去っていったあの人に。どうか届いてと奏でる音。
夢を現実に?やめてよ、そんなの私は望んでない。夢は夢で、空想だから楽しいのに。
(楽しくない現実で夢を傷つけないで。)
一番大切な、唯一の。
どんなときでも、隣には彼女がいた。