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対峙

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 こつり、こつり。
 石畳の床を叩く二人分の足音が、耳に響く。
 獲物と円を描くようにゆっくりと歩を進めている間も、視線は外さない。
 利き手を腰にある刀の柄に置き、息を一つ二つと吐きながら、その時が来るのを待つ。
 飛びかかるにはまだ早い。
 もう少し……、あと少し。
 獲物から送られる鋭く尖った視線が、肌をピリピリと刺激する。
 ちょっと怖いな。でも、楽しみでもある。
 この人は、どうやって私を痛めつけてくるのだろう。
 どういう手を繰り出してくるのだろう。
 私の兄と同じで容赦がないのか。自分の兄を真似て、手を抜いてくるのか。
 ……後者は有り得ないな。
 自分で出した結論に、思わず笑みがこぼれた。
「余裕だな」と、獲物が語りかける。
 笑顔をみせたまま、私は獲物に言葉を返した。
「だって、余裕だもん」
 敵の眼光が鋭くなった気がする。
 それと同時に、獲物に絡んでいた茨に似た空気が緩む。
 その機会を逃さず、私は獲物を狩る為に駆け出した。

 (初めて戦った日から、もう一度戦ってみたいと思っていた)
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