×
  • up data!
  • Event
  • nobel
  • Gallery
  • booth
  • master
  • DM✉️
  • TOP

狐神と、秋

#秋という言葉を使わずに秋を一人一個表現する物書きは見たらやる

 ざっざっざ、と竹箒を動かせば、ざっざっざ、と、黄色や茜色に染まった落ち葉で小山が出来る。まだ少し木にしがみついていそうだったのに、昨晩の嵐で落とされてしまったらしい。ざっざと葉を積み重ね、大きくなる小山の周囲で、茶色と白色のまだらな毛を持つ狐神がぴょこぴょこと跳ねる。少し前までは、茶色の毛だけだった。今は痩せて見えるその身体も、これから先の白く冷える季節に向けて、もこもこと丸くなっていくだろう。
「葉っぱで芋を焼くと美味しいと、隣の町に住む神(せんぱい)が言っておったぞ!」
「はいはい」
「芋はどの芋が良いのだろう⁉ さつまいもか? さといもか? じゃがいもはバターと塩をふりかけるのが好きだなあ! どうせなら、栗や魚も焼いてみないか⁉」
「お供えには何の作物があったかなあ!」と、狐神はぴょこぴょこと跳ねて、倉へと向かった。
 竹箒を持つ者は、その小さくもふもふとした背中を見送りながら、短く息を吐き出した。
 その食い意地も、この季節ならではだろうか。
スキ


  • ギャラリー
  • TOP
  • 無料ではじめる
  • ログイン
forestpage+誰でもかんたんサイト作成
Copyright © Visualworks. All Rights Reserved.
読者になる

読者登録

このサイトの読者登録を行います。
読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。


非会員で読者登録