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河童

画像内 文章

 バチャンと、音を立てた川に視線を戻す。
 緩やかな波だけがあった川岸に近い場所の水面(みなも)に、波紋が広がっている。
 その中央にある緑色の顔を視界に入れて、目を大きく見開いた。
 頭にあるお皿が、光を反射してキラリと光る。
 見られていることを気にしていないのか。それとも、気づいていないのか。
 川から現れた緑色の顔の持ち主は「よっこらせ」と地面に身体を上げた。
 唖然としながら、その生き物の動きを見守る。
 あの生き物は。見間違いでなければ、あの生き物は。
 河童だ。
「相変わらず餓鬼が多いな」とか、「外来種が多くて嫌になるわ」とかぼやいているが、よく聞く姿の、河童だ。
 見られていることにようやく気づいたのか、河童がこちらを見る。
 口をへの字に曲げて、河童は口を開いた。
「見せもんじゃねえぞ」
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