Vent de Rafale 幕間 「昨日のぼくらにバイバイ」part1

幕間 「在りし日々」

「みずあびしよう!」
「おとうさんがよういしてくれたんだー!」と言って、半袖水着姿で現れたのは、隣に住む幼馴染み。
 今日も太陽はサンサン、気温は暑いを通り越したものになっている。
「このくそあついなかで?」と、顔をしかめる俺を無視して、幼馴染みは俺の腕を素早く掴み、自宅の庭へ駆け出す。サンダルをちゃんと履く時間も与えてくれなかった。せっかちすぎる。舗装された地面は熱を集め、足の裏が今にも焼けそうなほど熱い。
 経った一分の距離を跳ねるように走って、飛び込んだ先は幼児向けの浅いビニールプール。
 プールの水は日差しを受けて、ほどよい温さと冷たさ。熱くなった足の裏が、じんじんと脈打ちながら冷えていく。
「きもちいい……」
 しばしの間、日差しの下で佇む。
 ざばざばと、ホースの水が降ってきたのはその時であった。

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