【輝き】
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日向君は本当に言葉通りボロボロだった。
主審の人にぶつかっていったときはさすがに冗談抜きで試合続行不可能になると思った。だって審判の人のおでこ赤くなってるし・・・。それでもどうにか試合は進んで、烏野がリードする展開にはならないけれど、みんなだって負けてない。日向君への心配もあるかもしれないけれど、それでも目が離せない。
(あ、日向君のサーブだ)
ピッ
バチコーーーーーーン‼
「っ!」
日向君のサーブが影山君の後頭部にクリーンヒットして、思わず喉が鳴った。だってすごい音したもん。
(でも、そんなことより何も言わないで日向君に迫っていく影山君が怖すぎる、威圧感すごすぎ)
日向君はどんどん壁に追いやられてもうそこの空気だけ色が違う、なんか黒いし重い。清水先輩からこの二人が最初は喧嘩ばかりだったって聞いたけれど、もうこれ終わりなのでは?土下座しても許してくれなさそうですけど。
「とっとと通常運転に戻れ!バカヤロー‼」
影山君のその言葉は【怒り】というより【鼓舞】だった。もちろん少なからず怒ってはいたかもしれないけれど、言葉の端から一緒にバレーをやろうって早く戦おうって言っている気がする。
「おい、こら日向」
「ひっ!はい・・・」
学校の部活だから当たり前に先輩もいるわけで、影山君に続いて声をかけたのは田中先輩だった。日向君は流れるように正座してうなだれた。正直、日向君のミスでセットを落としたようなものだから先輩には怒られてしまうのではないかとハラハラしたけれど、田中先輩は先輩らしいまっすぐな言葉で告げる。
「いいか?バレーボールっつうのはなあ!ネットのこっち側にいる全員、もれなく味方なんだよ‼」
試合に出るからにはしっかりしなきゃ、交代させられるのは嫌だ、そんな不安に駆られていた日向君が、田中先輩のその言葉で上を見上げた。
「へたくそ上等‼迷惑かけろ‼足を引っ張れ‼それを補ってやるための!チームであり、先輩だ‼」
このチームは本当にいいチームだとしみじみと思う。言葉は田中先輩だったかもしれないけれど、ほかの先輩たちも全く同じことを思っている顔をしている。
(ミスをしてからずっと下を向いていた日向君が上を向いた)
常に上を向いて必死にボールを追いかける姿がきれいだった。でもこの人たちはそれだけじゃない。プレー中以外もずっと上を向いている。必死に大きく羽ばたこうともがいて支え合って、一緒に頑張ろうってそうやって一つのチームで。
(もっと見たい)
いつの間にか私はそう思っていた。この人たちの真剣な大きく羽ばたくバレーをもっと見たいと。二セット目が始まる。