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(やっぱり余計なお世話だったかな…)
放課後、いつも通りに部活が進んでいく。そこに、旭さんの姿はまだない。
(私なんかが出しゃばったせいで部活に来るのがもっといやになってたら、先輩たちに顔向けができない…)
もう夕方で、外は茜色に染まっていた。
「ことりちゃん、どうかした?」
隣で部誌をつけていた清水先輩に声をかけられて慌てて首を横に振っていつものようにボール拾いに集中した。
「お疲れ様―」
もうそろそろ終わるだろうというとき、武田先生が坂ノ下商店のお兄さんを連れて体育館に入ってきた。
「紹介します!今日からコーチをお願いする、烏養君です!」
先生のその言葉にみんながぽかんとしてしまう。
先生たちの説明によると、烏養さんはあの伝説と言われる烏養監督のお孫さんらしい。GW合宿の最終日に行う音駒高校との練習試合までの期間限定のコーチだけれど、私たちにとってはまたとない機会だった。
「時間がねえんだ!さっさとやるぞ!お前らがどんなチームか見てえから、六時半から試合な!相手は呼んである」
コーチの言葉にみんながどよめく。いきなり試合?しかも相手はどこと?すると、コーチは少しどや顔で言った。
「烏野町内会チームだ‼」
その言葉を皮切りに急いで練習試合の準備をする。
「ことりちゃんはビブスと得点板をお願い、試合中、私はスコアをつけるから得点係をお願いしてもいい?」
清水先輩の言葉に敬礼を返して早速動き出す。
(こんなに早く、またみんなの試合が見られるなんて…)
楽しみで思わず口角が上がってしまう。
「あはは、雛森さん、うきうきしてんね」
一緒に得点版を用意していた菅原先輩が私の顔を見て笑った。私はその言葉答えるようにうんうんと大きくうなずく。
すると菅原先輩は一瞬悲しい顔をして、また笑った。
「俺も、あいつらがどんなことしてくれるのか楽しみ」
(あ、そうか…)
影山君と菅原先輩は同じポジションで、この試合もきっと前回と同じようにきっと影山君がセッターとして出るだろう。それはとっても悔しいことで悲しいことなのかもしれない、私にはまだ、わからないけれど。
(先輩のプレーだって私にとっては楽しみなのに、そんな言い方してほしくない)
「雛森さん?」
表情に出ていたのか先輩が不思議そうな顔をして私の名前を呼ぶ。いつもなら何でもないと首を振るところだけれど今回はそうしたくなくて、ちょっとばかりの対抗心でうなずくという選択肢を取った。
「え?待って、それどういううなずき?」
丁度セットできたので、深々とお辞儀をしてほかの準備に向かった。
「え?俺なんかしちゃった?」
菅原先輩が一人、そう呟いていたことを私は知らない。