【守護神】
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「雛森さん、一緒に部活いかない?」
山口君のお誘いに大きくうなずいて急いで準備する。山口君と一緒に月島君も待っていてくれて最初のころはクールでちょっと怖いなと思っていたけれど、案外優しい人であることが分かった。たぶん素直になることが人よりちょっと難しい人なのだと思う。
同じクラスだし、同じ部活になったことにより、三人でいることが増えたと思う。そういう状況に対して二人がどう思っているかわからないけれど、私は素直にうれしい、だって青春そのものって感じだし。
三人でいるときは基本的に山口君しか話していない。山口君のお話に私と月島君が相槌を打って、月島君は時々何か話してみたいな、とても落ち着く空間である。
でも、私が一番落ち着くのはやっぱりあの人の隣。
「ことりちゃん、お疲れ様、今日も頑張ろうね」
山口君らと別れて、体育館に向かっていると後ろから先輩に声をかけられて嬉々として振り向く。
(やっぱり、清水先輩の近くは落ち着くなぁ)
先輩にちゃんとお辞儀をして先輩と横並びで歩く。清水先輩は少し微笑みながら私にお話をしてくれる。癒し。とっても優しくて、こんな私でも後輩ができたと喜んでくれる素敵で尊敬できる人。清水先輩の隣にいると、癒されると同時に頑張ろうと思える。この人の、みんなの役に立ちたいと思える。
(よし、今日も頑張るぞ!)
そう気合を入れたとき、突然前方から大きな声が聞こえて何かが飛んできた。
「潔子さーん‼あなたに会いに来ましたー‼」
何者⁉と思っている間に、飛び込んでくる勢いにとっさに手が出てしまったようで、清水先輩はその何かに平手打ちをお見舞いした。いや、本当にいい音がした。
飛んできた何かはそのまま地に落ちてやっとそれが見知らぬ生徒であることが分かった。でも状況は一切わからなくて怖い。なぜ人が飛んでくるんだ。
「ことりちゃん、気にしないでいいよ」
未だに倒れている人をじっと見ていると清水先輩がそう言うのでとりあえずぺこりとお辞儀だけして体育館に入った。体育館内にはすでに澤村先輩たちがいてそちらの方にもお辞儀をするとひらひらと手を振ってくれた。優しい。
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清水と雛森が去った後の体育館には復活した西谷が大騒ぎで田中に迫る。
「潔子さんの隣にいたあのちっこい子はなんだ⁉まさか・・・まさか・・・」
「フッフッフッ、そのまさかだ・・・一年生の新マネージャーだ‼」
田中のその宣言を皮切りに二人が「うおおおおおお‼」と大騒ぎして澤村に注意された。
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あの飛んできた生徒は二年生の西谷先輩と言うらしい。本人から自己紹介させるのは少し不安と言った菅原先輩が紹介してくれた。自己紹介に不安を覚えるって何事・・・。
話に聞くところ西谷先輩は教頭先生とちょっといろいろあって謹慎中だったらしい。見た感じ問題児って感じはしないのに意外だった。なんというか、まっすぐで澤村先輩とは違う頼もしさと言うかなんというか。とりあえずにこっと微笑んでお辞儀をしておいた。叫んでた。
「雛森さんの事情はとりあえず俺が話しちゃったけど大丈夫だった?」
大丈夫ですという意味を込めてお辞儀をする。すると菅原先輩はにこにこと笑って私の頭をポンと撫でた。
「よかった、じゃあ今日も頑張んべ」
そう言ってさわやかに去っていった。
(高校三年生ってすごい・・・大人・・・)
年齢は二つしか変わらないはずなのにどうしてあんなにも余裕があるのだろうか・・・。澤村先輩たちの方に向かっていく菅原先輩の背中を見つめながらそんなことを考えた。