【新しいつぼみ】4話
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夕飯も食べ終わって各々がくつろいでいた時。
「お姉ちゃん、ちょっと相談があって・・・今大丈夫?」
「ん?」
咲也たち春組との話し合いが終わったところにひなみが恐る恐る近づく。
「その、ヴァイオリンの練習にいいところないかなって・・・学校の周りあんまりいいところなくて、安めのスタジオみたいな」
「スタジオか・・・うちは寮に稽古場があったからあんまり調べたことなかったな・・・」
いづみならば何か情報を持っているだろうと踏んでいたひなみは思わぬ展開に焦り始めた。
「ど、どうしよう、入学前課題もあるのに」
「あ!そうだった‼忘れてた‼」
「ええ!カントク、忘れてたんですか⁉」
「引っ越しも終わったから安心してて・・・」
まさか自分の姉が課題を忘れているとは思わなかったひなみはどんどん肩を落としていく。
「で、でもほら、ひなみはヴァイオリン上手だから・・・」
「監督さん、それは無理あるかも・・・」
「あ、やっぱり?」
(私は、いくら練習したって足りない・・・もし、音咲でも落ちこぼれなんて言われたら・・・)
今まで落ちこぼれとして扱われていたひなみにとって練習はいくらやったって足りない。また、天音にいたころのように星川に誘ってもらった音咲でまで落ちこぼれ扱いされることが怖くて仕方なかった。
「じゃあ稽古場を使え」
「え?左京さん?」
「スタジオ借りるにも金がかかる、稽古時間以外は好きに使え」
思わぬところからの助太刀にみんなが左京に顔を向けた。
「え、で、でもうるさくないですか?」
「稽古場は防音だから問題ない」
「でも、あそこはお芝居の練習をするところで・・・」
「何言ってんだ」
キョトンとした顔で左京はひなみを見る。
「お前、小せえころ稽古場で子ども用のヴァイオリン弾きまくってただろ」
「な、なぜそれを・・・」
確かにひなみがまだ小さくて子供用のヴァイオリンを持っていたころは父に付いて回ってきらきら星を永遠と弾いて回っていた。しかしそれはまだ父がいたころの劇団内での出来事だ。しかも小さすぎてひなみ自身は覚えておらず、父が残したボイスレコーダーにその様子が録音されていたため知っていた程度。
なのに現劇団員の左京がなぜ知っているのかひなみにはわからなかった。
「そうなんですか!っていうか左京さんひなみにも会ってたんですね!」
「ちっちゃいころのひなみちゃん!かわいいんだろうな~」
「オオ~ヴァイオリンのようかんネ~」
「妖精と見た」
「ソレダヨー」
「食べもんに例えるなよ・・・」
(どうしてみんな、普通に会話を続けているんだろう)
この中で一人戸惑っているひなみにいづみが説明した。
「ああ、ひなみは知らないか、左京さんは昔のカンパニーに時々遊びに来てたんだよ、お父さんのことも知ってるの」
「ええ!そうなの⁉」
「まさかこんなにでかくなって会うことになるとは思わなかったけどな」
衝撃の事実にひなみが固まっている間に稽古場を練習室として使う話がどんどん進んでいき、劇団員全員の同意を受けひなみの稽古場使用が決定した。