【新しいつぼみ】4話
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一方その頃ひなみは・・・道に迷っていた。
「あ、あれ?どうして矢印が後ろ向いちゃうの?あれー?」
受験のために一度来ているはずなのになぜか迷っていた。そして不安になってすぐにスマホの地図アプリを起動させたが、それがまたあてにならず途方に暮れる。
(一回、覚えてる道まで戻ってもう一回調べなおそう)
「あの・・・何か困ってます?」
「え?」
後ろから突然声をかけられたひなみは振り向いて確認する。そこにはジャージを着た高校生くらいの男の子がいた。しかし、ひなみの知り合いである星川ではない。全く知らない人だ。
ひなみが怪訝そうな顔をしたためか、男の子は慌てたように胸の前で両手を振りながら弁明する。
「いや!ナンパとかじゃなくて!さっきからずっとスマホとにらめっこしてるからどうしたのかと思って!」
「あ、いや、すみません!ちょっと道を間違えてしまったみたいで・・・」
「ああ!そうだったんだ、ちなみにどこに向かってたの?」
「えっと、音咲学園に・・・四月からそこに通うので」
「それならこっちの道で合ってるよ!もう少し先の曲がり角を曲がればすぐだから」
「え?そうなんですか?」
てっきり道を間違えていると思っていたひなみはスマホの地図アプリに目を向けるが矢印はいまだに変な方向に向いていた。
「うん!俺その近くの土筆高校ってとこ通ってるから間違いなし!」
にっこりと満面の笑みで笑っている男の子につられてひなみも笑う。
(周りを笑顔にできるって素敵な人だな)
「ありがとうございます、助かりました」
「いえいえ!こういうのってお互い様だから!学校も近いしまた逢えたらいいね!じゃあね‼」
「はい、ありがとうございました」
男の子の言う通り少し行った先の曲がり角を曲がると目の前に音咲が見えた。
(迷った時間を抜いたら・・・三十分くらいか、本当に近いな・・・)
「練習室は、さすがに入学前は使えないよね・・・」
ひなみはここに来る道のりの中で、ヴァイオリンの練習に使えそうな公園や広場をさがしたがいいところがなく困っていた。
(入学前課題の練習・・・どうしよう・・・)
「星川さんに連絡してみる?・・・いやいやいや、さすがに頼りすぎか・・・」
「あれ?立花?」
「星川さん‼」
「なんでお前こんなとこにいるんだよ?」
「引っ越し先からここまでの道のりを調べておこうと思って・・・」
今日は何かと人に話しかけられる。学校のすぐ近くにある学生寮からタイミングよく星川が出てきた。
「ああ、そういうことか、寮に入れなかったって聞いたときはどうなるかと思ったが大丈夫そうで良かった」
「まあどうにか・・・ただ、練習場所が・・・何かいいところありませんか?」
「う~ん・・・ここら辺いいところないんだよな~、お姉さんとかに相談してみたらどうだ?」
「・・・そうですね、一度相談してみます」
ここら辺のことはここに住んでいる人に聞いてみた方がよいだろう。道に迷ってしまったせいで予想以上に時間がかかてしまった。ひなみは荷物を持ち直して星川に別れを告げた。