夢小説内でのお名前の変更設定
純愛賛歌【DB/ピッコロ】
貴女のお名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ピッコロに手を引かれやってきた場所は少し入り組んだ森の中の小川だった。
そよそよと気持ちの良い風が吹くその場所に、小川を見やった夢子は足を止めたピッコロを不思議そうに見上げた。
「まずはそのボロ雑巾のような格好をなんとかしろ」
「う、わっ?!」
そう言って有無を言わせず小川へと夢子を放り込んだピッコロに悟飯からピッコロさん!?と抗議の声が上がった。
バシャン!と上がった水しぶきに、尻餅をついて全身ずぶ濡れになった夢子はひどく呆けたように、自分を見下ろすピッコロを見やった。
「あ、相手は女の子なんですよ?!」
そう言って大丈夫ですか?と道着が濡れるのもお構いしに夢子の手を引いて立ちあがらせた悟飯に、夢子はパチクリと瞬きをするとふふ、と笑みを零した。
「水が冷たくて気持ち良い!」
そう言ってバシャバシャと顔を洗い始めた夢子に今度は悟飯がポカリとそんな夢子を見やった。
泣くわけでも、怖がるわけでもなくただただ楽しげに水浴びをする夢子に、そんな夢子を見やったピッコロは小さく口元に笑みを浮かべた。
「ふむ、だいぶ見られるようにはなったな」
煤と泥で汚れていた顔も体も綺麗になった夢子に、そんな夢子を見下ろしたピッコロは水浸しになった服を見やると小さく眉を顰めた。
「コレに着替えたらすぐに修行を始めるぞ」
そう言ってパッと何もないところから紫色の道着を出したピッコロに、差し出されたソレを受け取った夢子はひどく驚いたようにそんなピッコロを見上げた。
「魔、魔法使いだ……」
凄い、と声を漏らした夢子に、ピッコロは小さく眉を顰めるとさっさとしろ、とそんな夢子を見下ろした。
それに慌ててボロボロの服を脱ぎ始めた夢子に、うわぁ?!と声をあげて夢子から背を向けた悟飯
うんしょ、と着ていた服を脱ぎ捨てて道着に袖を通した夢子は自分のサイズにピッタリなそれに感嘆の声を漏らした。
「おぉ、カッコイイ……!」
ピッコロと悟飯とは少しだけデザインの違う道着に、着替え終わった夢子を見やった悟飯は上下が別れている道着にピッコロさんの配慮なんだろうか、と少しだけ可笑しそうに笑みを浮かべた。
「ありがとうございます!ピッコロさん!」
ヒラヒラと揺れる裾にひどく嬉しそうに自分を見上げた夢子を一瞥したピッコロは側で忍び笑いを零す愛弟子を見やるとその頭を少し乱暴に撫でつけた。
「ピッコロさんって魔法使いなの?」
空飛べるし手品みたいに物出せるし、と再び歩き出したピッコロの後ろをついて歩いていた夢子は隣を歩く悟飯を見やると不思議そうに小首を傾げた。
それに苦笑を洩らした悟飯は違いますよ、と小さく首を振り前を歩く師匠の背を見やった。
「アレは魔法じゃなくて魔術なんですよ。
それに空はボクだって飛べるし、きっと夢子ちゃんも修行をすれば飛べるようになりますよ」
そう言ってどこか誇らしげにピッコロを見やる悟飯に、私も…と声を漏らした夢子は頬を高揚させると前を歩くピッコロの背を見やった。
「悟飯君もピッコロさんも、凄いんだね!」
私も頑張る、と張り切る夢子にそんな夢子を横目で見やったピッコロはクツリ、と至極楽しげに笑みを零した。
そして始まった組み手形式の修行に、軽く数メートル吹っ飛ばされては早く立て、と自分を見下ろすピッコロに、夢子はひどく困惑した表情を浮かべていた。
今まで盗賊紛いなことをしてきた彼女は、それなりに格闘に対する腕には自信があったはずなのだが、今目の前に立っている人物はただ少しだけ手を当てただけで自分を軽々とふっ飛ばしてしまうのだ。
受け身もろくに取れずに地面に転がる夢子は、もう一度だ、と言って腕を引っ張り自分を立ちあがらせたピッコロに足をよろめかせた。
「ピッコロさん、ちょっとやりすぎですよ」
まだ始めたばかりですよ、とそんな夢子とピッコロの組み手を見ていた悟飯が堪らずストップの声をかけた。
「そんな甘ったれたことを言っていたら何時まで経っても強くはなれん」
さぁ構えろ、と静止の声を上げた悟飯を一瞥すると無理やり夢子を立ちあがらせたピッコロに、悟飯は口を噤むとなんとか構えを取った夢子を心配そうに見やった。
「うぁっ……!!」
小さく震える肩に、浅く呼吸を繰り返していた夢子は目の前に迫ったピッコロにとうとう地面に尻餅をついてしまった。
ドサリ、と地面に座りこみ顔の前に両腕をクロスさせ来るであろう攻撃に身を固くした夢子に、寸でのところで拳を止めたピッコロは小さく震える夢子を見下ろすとフン、と鼻息を漏らした。
「今日はこのくらいにしといてやる。帰るぞ、悟飯」
「えっ?あ、は、はい!」
そう言って振るえる夢子を脇に抱え空へと上がったピッコロに、悟飯も慌ててピッコロのあとを追いかけた。
小さく身を固くさせていた夢子は、顔に当たる風に自分を脇に抱えて飛ぶピッコロをそっと見やった。
どこか眉間に皺を寄せて気難しそうな顔で空を飛ぶピッコロに、夢子は顔を俯けさせるとギュッとピッコロの道着を握りしめた。
(弱いヤツだと思われたかな……)
一度もまともに受け身をとれなかった自分に、早々に修行を切り上げて帰ると言いだしたピッコロを思い出して夢子はキュッと唇を噛んだ。
「明日からは弱音を吐こうが容赦はせんぞ」
覚悟しておけ、と静かに言葉を放ったピッコロに、驚いたように顔を上げた夢子は真っ直ぐに前を見るピッコロの顔を見やると小さく頷いた。
そんな夢子とピッコロのやり取りを見ていた悟飯は、ひっそりと口元に笑みを浮かべたピッコロを見やると少しだけ驚いたように目を瞬かせた。
「お母さんただいま帰りました!」
「お帰りなさい悟飯ちゃん。さ!風呂できてっからはいってけろ、ピッコロさ、も……」
ガチャリと開いた扉に夕飯の準備をしていたチチは帰ってきた悟飯を見やると顔を綻ばせた。
そう声をかけピッコロへと視線を移したチチはその脇に抱えられる小さな子供を見やると手にしていたお皿をガシャン、と手から取り落とした。
「ピ、ピピピピピッコロさ?!その子どうしたべか?!」
「山奥で見つけて保護してきた」
そう言って脇に抱えていた夢子を地面へと降ろしたピッコロに、自分をひどく驚いた表情で見つめるチチを見やった夢子はソッとピッコロの後ろへと身を隠した。
「保、保護って……迷子じゃねぇのか?!」
「身寄りもないガキだ。あのまま放っておけば野犬に食われるのが落ちだった。」
そう言って足元に隠れる夢子をチチの前に突き出したピッコロはそのまま台所へと向かうと水道の蛇口を捻った。
だども、と夢子を見やって水を飲むピッコロに視線を移したチチに、ピッコロは口元を拭うとチチを振り返った。
「ソイツの面倒は俺が見る。お前等に迷惑はかけん」
そう言ってこの話はこれで終わりだとでも言うように奥の部屋へと行ってしまったピッコロに、呆けたように夢子を見下ろしたチチ。
ジッと自分を見つめるチチに、夢子は小さく身じろぐと苦笑を浮かべる悟飯を見やり、チチへと視線を向けた。
「あ、の……私、夢子って言います……」
宜しくお願いします、と頭を下げた夢子にチチは大きく溜息を吐きだすと額に手を当てた。
「あー、もう!勝手にしてけろ!!一人増えるのも二人増えるのも変わんねぇべ!
ほら、夢子さも風呂入ってけろ!」
ご飯用意しとくから!とドロドロの夢子の格好を見やったチチはニコッと笑みを浮かべると困惑する夢子の背を押して外に作られたドラム缶のお風呂へと案内した。
ポカポカと湯気の上がる体に、いつの間にか用意されていた替えの服を着た夢子は家の入口に立つと入ろうかどうしようか、と手を彷徨わせた。
中から聞こえてくる悟飯とチチの楽しげな会話に、上げていた手を下ろした夢子は顔を俯かせると小さく溜息を吐きだした。
「入りづらい……」
突然やってきた自分を、半ば強制的とはいえ暖かく迎えてくれた悟飯の母親に、今まで接してきた人間達とは全く違ったタイプの彼女達に夢子はそう声を漏らすと再び溜息を吐きだした。
そしてこのまま逃げてしまおうか、と一瞬頭を過った考えに夢子はポン、と叩かれた肩にビクリ、と体を震わせた。
「オメーオラん家の前で何してんだ?」
なんか用か?とオレンジ色の道着を着た男の人に声をかけられた夢子は自分を不思議そうに見下ろす男性を見上げると視線を宙へと彷徨わせた。
「悟飯の友達か?ま、良いか!ほら入るなら早く入れ!」
オラもう腹ペコペコだ、と言って夢子の背中を押して家の中へと入った男性に、夢子もすでに食卓についていた悟飯達を見やった。
「やーっと帰ってきただべか、悟空さ!」
「お父さんお帰りなさい!」
居間へと顔を覗かせた家の主に、全く、と呆れ顔を浮かべたチチにそんな父親を笑顔で出迎えた悟飯。
「悪ぃ悪ぃ、ちっと修行に夢中になりすぎちまってよー!ほんでこの子は誰なんだ?」
そんな二人に苦笑を洩らした悟空は夢子の頭をポンポン、と叩くと不思議そうに首を傾げた。
そう言った悟空にチチも悟飯も黙ってイスに腰掛けるピッコロへと視線を移した。
それに同じようにピッコロへと視線を向けた悟空に、腕を組んで目を閉じていたピッコロは所在なさげに佇む夢子を見やると鼻息を漏らした。
「俺の弟子だ」
「「は……?」」
そう簡潔に説明したピッコロに、悟空も、それまでニコニコと笑みを浮かべていたチチも呆けたようにピッコロを見やった。
ジッと向けられる視線に、居た堪れなくなったのか小さく咳払いをしたピッコロは夢子の名を呼ぶと悟飯の隣へと促した。
それに悟空とチチを一瞥した夢子は駆け足で悟飯の隣へと腰掛ける。
「おっでれぇた……まさかオメーが悟飯以外に弟子作るなんてなぁ……」
「ちょ、ちょっと待つだ!!弟子ってなんだべ?!夢子さは女の子だろ?!」
そんたらこと許さねぇぞオラ!!と感心したように声を漏らして席に着いた悟空に、そんなピッコロと悟空を見やったチチはテーブルを叩くと抗議の声を上げた。
それにビクリと肩を震わせたのはテーブルの上のご馳走を見て目を輝かせていた夢子だった。
目を吊り上げて悟空とピッコロを睨みつけるチチに、夢子はどこか申し訳なさそうに隣の悟飯へと視線を向けた。
反対するだろう事を予想していた悟飯は苦笑を洩らすと小さく口元に人差し指を当て夢子へとウィンクをして見せた。
「だいたいいっつもピッコロさは勝手すぎるべ!悟飯ちゃんのときだってそうだったでねぇか!
勝手に連れ去って修行だなんだって……!!」
もぅ、いい加減にしてけろ!と半ば涙ぐんでそう言ったチチにハハハ、と笑ったのは悟空だった。
「ピッコロはピッコロできっとなんか考えがあんだよ。
悟飯だってピッコロに鍛えてもらって見違えるぐれぇ強くなったんだしなー」
そう言って空腹に耐えきれなくなったんだろうテーブルの上のご飯へと手を伸ばした悟空。
それに肩を震わせたチチはピッコロを見やるとオロオロとする夢子へと視線を向けた。
「夢子さは嫌だべ?!こんたら男どもと修行なんて!」
「え、っと……私は、側に置いてくれるなら……」
なんでも良い、かな…、と小さく声を漏らして俯いてしまった夢子に、チチは声を詰まらせるとキッとピッコロを睨みつけた。
「本人の了承を得ているんだ。何も問題はなかろう」
そう言ってピッコロもこの話はこれで終わりだ、と言うようにテーブルに置かれた水へと手を伸ばした。
「~~~っ!!!もー勝手にしてけろ!!ただし、夢子さは女の子だ!オメーらみてぇな過度な修行はさせるでねぇぞ?!」
良いだな?!と声を上げたチチに、おう!と元気に返事を返した悟空にはい、と頷いた悟飯。
ピッコロはそれにチチに一瞥をくれただけで何も言わなかった。
孫家へようこそ!
そよそよと気持ちの良い風が吹くその場所に、小川を見やった夢子は足を止めたピッコロを不思議そうに見上げた。
「まずはそのボロ雑巾のような格好をなんとかしろ」
「う、わっ?!」
そう言って有無を言わせず小川へと夢子を放り込んだピッコロに悟飯からピッコロさん!?と抗議の声が上がった。
バシャン!と上がった水しぶきに、尻餅をついて全身ずぶ濡れになった夢子はひどく呆けたように、自分を見下ろすピッコロを見やった。
「あ、相手は女の子なんですよ?!」
そう言って大丈夫ですか?と道着が濡れるのもお構いしに夢子の手を引いて立ちあがらせた悟飯に、夢子はパチクリと瞬きをするとふふ、と笑みを零した。
「水が冷たくて気持ち良い!」
そう言ってバシャバシャと顔を洗い始めた夢子に今度は悟飯がポカリとそんな夢子を見やった。
泣くわけでも、怖がるわけでもなくただただ楽しげに水浴びをする夢子に、そんな夢子を見やったピッコロは小さく口元に笑みを浮かべた。
「ふむ、だいぶ見られるようにはなったな」
煤と泥で汚れていた顔も体も綺麗になった夢子に、そんな夢子を見下ろしたピッコロは水浸しになった服を見やると小さく眉を顰めた。
「コレに着替えたらすぐに修行を始めるぞ」
そう言ってパッと何もないところから紫色の道着を出したピッコロに、差し出されたソレを受け取った夢子はひどく驚いたようにそんなピッコロを見上げた。
「魔、魔法使いだ……」
凄い、と声を漏らした夢子に、ピッコロは小さく眉を顰めるとさっさとしろ、とそんな夢子を見下ろした。
それに慌ててボロボロの服を脱ぎ始めた夢子に、うわぁ?!と声をあげて夢子から背を向けた悟飯
うんしょ、と着ていた服を脱ぎ捨てて道着に袖を通した夢子は自分のサイズにピッタリなそれに感嘆の声を漏らした。
「おぉ、カッコイイ……!」
ピッコロと悟飯とは少しだけデザインの違う道着に、着替え終わった夢子を見やった悟飯は上下が別れている道着にピッコロさんの配慮なんだろうか、と少しだけ可笑しそうに笑みを浮かべた。
「ありがとうございます!ピッコロさん!」
ヒラヒラと揺れる裾にひどく嬉しそうに自分を見上げた夢子を一瞥したピッコロは側で忍び笑いを零す愛弟子を見やるとその頭を少し乱暴に撫でつけた。
「ピッコロさんって魔法使いなの?」
空飛べるし手品みたいに物出せるし、と再び歩き出したピッコロの後ろをついて歩いていた夢子は隣を歩く悟飯を見やると不思議そうに小首を傾げた。
それに苦笑を洩らした悟飯は違いますよ、と小さく首を振り前を歩く師匠の背を見やった。
「アレは魔法じゃなくて魔術なんですよ。
それに空はボクだって飛べるし、きっと夢子ちゃんも修行をすれば飛べるようになりますよ」
そう言ってどこか誇らしげにピッコロを見やる悟飯に、私も…と声を漏らした夢子は頬を高揚させると前を歩くピッコロの背を見やった。
「悟飯君もピッコロさんも、凄いんだね!」
私も頑張る、と張り切る夢子にそんな夢子を横目で見やったピッコロはクツリ、と至極楽しげに笑みを零した。
そして始まった組み手形式の修行に、軽く数メートル吹っ飛ばされては早く立て、と自分を見下ろすピッコロに、夢子はひどく困惑した表情を浮かべていた。
今まで盗賊紛いなことをしてきた彼女は、それなりに格闘に対する腕には自信があったはずなのだが、今目の前に立っている人物はただ少しだけ手を当てただけで自分を軽々とふっ飛ばしてしまうのだ。
受け身もろくに取れずに地面に転がる夢子は、もう一度だ、と言って腕を引っ張り自分を立ちあがらせたピッコロに足をよろめかせた。
「ピッコロさん、ちょっとやりすぎですよ」
まだ始めたばかりですよ、とそんな夢子とピッコロの組み手を見ていた悟飯が堪らずストップの声をかけた。
「そんな甘ったれたことを言っていたら何時まで経っても強くはなれん」
さぁ構えろ、と静止の声を上げた悟飯を一瞥すると無理やり夢子を立ちあがらせたピッコロに、悟飯は口を噤むとなんとか構えを取った夢子を心配そうに見やった。
「うぁっ……!!」
小さく震える肩に、浅く呼吸を繰り返していた夢子は目の前に迫ったピッコロにとうとう地面に尻餅をついてしまった。
ドサリ、と地面に座りこみ顔の前に両腕をクロスさせ来るであろう攻撃に身を固くした夢子に、寸でのところで拳を止めたピッコロは小さく震える夢子を見下ろすとフン、と鼻息を漏らした。
「今日はこのくらいにしといてやる。帰るぞ、悟飯」
「えっ?あ、は、はい!」
そう言って振るえる夢子を脇に抱え空へと上がったピッコロに、悟飯も慌ててピッコロのあとを追いかけた。
小さく身を固くさせていた夢子は、顔に当たる風に自分を脇に抱えて飛ぶピッコロをそっと見やった。
どこか眉間に皺を寄せて気難しそうな顔で空を飛ぶピッコロに、夢子は顔を俯けさせるとギュッとピッコロの道着を握りしめた。
(弱いヤツだと思われたかな……)
一度もまともに受け身をとれなかった自分に、早々に修行を切り上げて帰ると言いだしたピッコロを思い出して夢子はキュッと唇を噛んだ。
「明日からは弱音を吐こうが容赦はせんぞ」
覚悟しておけ、と静かに言葉を放ったピッコロに、驚いたように顔を上げた夢子は真っ直ぐに前を見るピッコロの顔を見やると小さく頷いた。
そんな夢子とピッコロのやり取りを見ていた悟飯は、ひっそりと口元に笑みを浮かべたピッコロを見やると少しだけ驚いたように目を瞬かせた。
「お母さんただいま帰りました!」
「お帰りなさい悟飯ちゃん。さ!風呂できてっからはいってけろ、ピッコロさ、も……」
ガチャリと開いた扉に夕飯の準備をしていたチチは帰ってきた悟飯を見やると顔を綻ばせた。
そう声をかけピッコロへと視線を移したチチはその脇に抱えられる小さな子供を見やると手にしていたお皿をガシャン、と手から取り落とした。
「ピ、ピピピピピッコロさ?!その子どうしたべか?!」
「山奥で見つけて保護してきた」
そう言って脇に抱えていた夢子を地面へと降ろしたピッコロに、自分をひどく驚いた表情で見つめるチチを見やった夢子はソッとピッコロの後ろへと身を隠した。
「保、保護って……迷子じゃねぇのか?!」
「身寄りもないガキだ。あのまま放っておけば野犬に食われるのが落ちだった。」
そう言って足元に隠れる夢子をチチの前に突き出したピッコロはそのまま台所へと向かうと水道の蛇口を捻った。
だども、と夢子を見やって水を飲むピッコロに視線を移したチチに、ピッコロは口元を拭うとチチを振り返った。
「ソイツの面倒は俺が見る。お前等に迷惑はかけん」
そう言ってこの話はこれで終わりだとでも言うように奥の部屋へと行ってしまったピッコロに、呆けたように夢子を見下ろしたチチ。
ジッと自分を見つめるチチに、夢子は小さく身じろぐと苦笑を浮かべる悟飯を見やり、チチへと視線を向けた。
「あ、の……私、夢子って言います……」
宜しくお願いします、と頭を下げた夢子にチチは大きく溜息を吐きだすと額に手を当てた。
「あー、もう!勝手にしてけろ!!一人増えるのも二人増えるのも変わんねぇべ!
ほら、夢子さも風呂入ってけろ!」
ご飯用意しとくから!とドロドロの夢子の格好を見やったチチはニコッと笑みを浮かべると困惑する夢子の背を押して外に作られたドラム缶のお風呂へと案内した。
ポカポカと湯気の上がる体に、いつの間にか用意されていた替えの服を着た夢子は家の入口に立つと入ろうかどうしようか、と手を彷徨わせた。
中から聞こえてくる悟飯とチチの楽しげな会話に、上げていた手を下ろした夢子は顔を俯かせると小さく溜息を吐きだした。
「入りづらい……」
突然やってきた自分を、半ば強制的とはいえ暖かく迎えてくれた悟飯の母親に、今まで接してきた人間達とは全く違ったタイプの彼女達に夢子はそう声を漏らすと再び溜息を吐きだした。
そしてこのまま逃げてしまおうか、と一瞬頭を過った考えに夢子はポン、と叩かれた肩にビクリ、と体を震わせた。
「オメーオラん家の前で何してんだ?」
なんか用か?とオレンジ色の道着を着た男の人に声をかけられた夢子は自分を不思議そうに見下ろす男性を見上げると視線を宙へと彷徨わせた。
「悟飯の友達か?ま、良いか!ほら入るなら早く入れ!」
オラもう腹ペコペコだ、と言って夢子の背中を押して家の中へと入った男性に、夢子もすでに食卓についていた悟飯達を見やった。
「やーっと帰ってきただべか、悟空さ!」
「お父さんお帰りなさい!」
居間へと顔を覗かせた家の主に、全く、と呆れ顔を浮かべたチチにそんな父親を笑顔で出迎えた悟飯。
「悪ぃ悪ぃ、ちっと修行に夢中になりすぎちまってよー!ほんでこの子は誰なんだ?」
そんな二人に苦笑を洩らした悟空は夢子の頭をポンポン、と叩くと不思議そうに首を傾げた。
そう言った悟空にチチも悟飯も黙ってイスに腰掛けるピッコロへと視線を移した。
それに同じようにピッコロへと視線を向けた悟空に、腕を組んで目を閉じていたピッコロは所在なさげに佇む夢子を見やると鼻息を漏らした。
「俺の弟子だ」
「「は……?」」
そう簡潔に説明したピッコロに、悟空も、それまでニコニコと笑みを浮かべていたチチも呆けたようにピッコロを見やった。
ジッと向けられる視線に、居た堪れなくなったのか小さく咳払いをしたピッコロは夢子の名を呼ぶと悟飯の隣へと促した。
それに悟空とチチを一瞥した夢子は駆け足で悟飯の隣へと腰掛ける。
「おっでれぇた……まさかオメーが悟飯以外に弟子作るなんてなぁ……」
「ちょ、ちょっと待つだ!!弟子ってなんだべ?!夢子さは女の子だろ?!」
そんたらこと許さねぇぞオラ!!と感心したように声を漏らして席に着いた悟空に、そんなピッコロと悟空を見やったチチはテーブルを叩くと抗議の声を上げた。
それにビクリと肩を震わせたのはテーブルの上のご馳走を見て目を輝かせていた夢子だった。
目を吊り上げて悟空とピッコロを睨みつけるチチに、夢子はどこか申し訳なさそうに隣の悟飯へと視線を向けた。
反対するだろう事を予想していた悟飯は苦笑を洩らすと小さく口元に人差し指を当て夢子へとウィンクをして見せた。
「だいたいいっつもピッコロさは勝手すぎるべ!悟飯ちゃんのときだってそうだったでねぇか!
勝手に連れ去って修行だなんだって……!!」
もぅ、いい加減にしてけろ!と半ば涙ぐんでそう言ったチチにハハハ、と笑ったのは悟空だった。
「ピッコロはピッコロできっとなんか考えがあんだよ。
悟飯だってピッコロに鍛えてもらって見違えるぐれぇ強くなったんだしなー」
そう言って空腹に耐えきれなくなったんだろうテーブルの上のご飯へと手を伸ばした悟空。
それに肩を震わせたチチはピッコロを見やるとオロオロとする夢子へと視線を向けた。
「夢子さは嫌だべ?!こんたら男どもと修行なんて!」
「え、っと……私は、側に置いてくれるなら……」
なんでも良い、かな…、と小さく声を漏らして俯いてしまった夢子に、チチは声を詰まらせるとキッとピッコロを睨みつけた。
「本人の了承を得ているんだ。何も問題はなかろう」
そう言ってピッコロもこの話はこれで終わりだ、と言うようにテーブルに置かれた水へと手を伸ばした。
「~~~っ!!!もー勝手にしてけろ!!ただし、夢子さは女の子だ!オメーらみてぇな過度な修行はさせるでねぇぞ?!」
良いだな?!と声を上げたチチに、おう!と元気に返事を返した悟空にはい、と頷いた悟飯。
ピッコロはそれにチチに一瞥をくれただけで何も言わなかった。
孫家へようこそ!