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金色猫とタンゴ
貴女のお名前は?
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カシャ、と鳴った携帯のシャッター音に、その中に写った野良猫の画を満足げに保存した夢子はソレをマルコとのトークへと添付すると送信完了が表示されたソレを見やり、木陰でまどろむ野良の側へと腰掛けた。
「お前、この前より太ったね……」
「ンニ゛ァ~……」
野良にしては随分と肉付きの良い体に、斑模様のその猫の体を撫でやった夢子はこの学校の生徒達から餌付けされているんであろうその猫を見やると小さく苦笑を洩らした。
生まれつきなのか、歳を取っているからなのかしゃがれた声のその猫に、毛並みの良い体を楽しむ様その体を撫でていた夢子はピロン、と着信を知らせた携帯を開くとマルコからの返信を見て小さく口元に弧を描いた。
『相変わらず不細工な猫だな』と返ってきた返信に、そこが可愛いんだよ、とマルコへと返信するため文章を打っていた夢子はふと携帯に落ちた影に、携帯から視線を上げると上を仰ぎ見、その顔を引きつらせた。
「ゲッ……スモヤン……」
「授業サボって楽しくゲームか……?あぁ?」
威圧感溢れる佇まいで自分を見下ろす生徒指導の先生に、ヤバ…と小さく声を漏らした夢子は自分へと伸ばされたスモーカーの手に咄嗟に携帯を後ろ手で隠すとそんなスモーカーからサッと身を引いた。
「テメェみてぇなバカがいるせいで学校での携帯の使用が禁止されんだぞ、夢子・夢野」
「アー、ハイハイすいませんでした。あんまカッカしてると禿げるよスモヤン」
捉え損ねた手に、小さく舌打ちを零しそう声を低くさせたスモーカーは、そんな自分を一瞥し芝生から腰を上げた夢子を見やるとピクリ、と眉を震わせその口端をいびつに釣り上げた。
「誰のせいで苦労が絶えねぇと思ってんだ、不良娘……!!あと教師をあだ名で呼ぶんじゃねぇ!スモーカー『先生』だっつってんだろ……!」
「その顔で『先生』とか。面白いね、スモヤン」
そう声を荒げたスモーカーに、銀髪三白眼の目の前の教師を見やった夢子は額の青筋を増やしたスモーカーに、足元の野良をトン、と足でつつくとソッとそんなスモーカーから後退した。
「っ………!!このクソガキ……、珍しく一限から現れたと思ったら早々にサボりやがって……!!授業ぐらい顔出しやがれっ、夢子……!!!」
「ヘーヘー、そんな怒鳴らなくたって聞こえてるって」
「ニ゛ャァ----!!!」
肩を震わせ声を上げたスモーカーに、その怒声に驚きその場を逃げ去る猫を横目に見やった夢子は再び伸びてきたスモーカーの手をヒラリ、とかわすと面倒くさげに肩をすくめそんなスモーカーから逃げるようその場を走り出した。
追って来る気もないんだろうすぐに撒いたスモーカーに、休み時間を知らせるチャイムを聞いていた夢子は教室戻るのも面倒だな…、と次の教科の化学担当の教師の顔を思い浮かべると小さく眉を顰め、震えた携帯にソレをポケットから取り出した。
先程打ちかけで止まっていたマルコとのトークに、既読を付けてから随分と経つソレを見やった夢子はもう良いや、と打ちかけていた文章を消すと新たに着信を知らせたメールを開きパチリ、と目を瞬かせた。
滅多にメールなど送って来ない知人からの連絡に、今日夜家に来い、という簡潔なメールを見やった夢子はそのメールに『了解』とだけ返すと帰り仕度をするべく教室へと向かったのだった。
~~~~~~~
ネギに白菜に鶏肉に、と夕食に必要な材料を台へと並べていた夢子は、ガララと開いた玄関の扉に次いで聞こえてきたただいまー!という元気な声にお帰りー、と言葉を返した。
「よぉ、御苦労御苦労!今日の晩飯は鍋か!」
「夢子ー、腹減った!!」
「ルフィ、エース!まずは手ぇ洗ってからにしろ!」
ガヤガヤと一気に騒がしくなった台所に、帰ってきて早々にご飯の催促をするルフィと冷蔵庫を漁り始めたエースにサボの呆れた声がかけられた。
「ダダンは?」
「醤油切らしたからって買いに行った」
手提げ鞄を部屋の隅に置きそう声をかけてきたサボに、手を洗うべくシンクへとやってきたルフィ達の為に場所を横へとずらした夢子はヒャー、冷てぇ!と楽しげに声を上げるルフィとエースを横目に見やると収納ラックから昆布を取り出した。
「ジーさんは?」
「ガープさんはセンゴクさんと飲みに行ったらしい」
そう言って大鍋をコンロへとかけた夢子は、どうにも用件のみを述べる癖があるサボに呆れたような視線を向けると、横から顔を覗かせたルフィへと視線を向けた。
「なぁ夢子肉沢山入れてくれよ!」
「ダダンから渡された食材はコレだけです」
そう言って目をキラキラと輝かせるルフィに、残念、と肉より野菜の多い台を指差した夢子はえぇ~…、不満げな声を漏らしたルフィをサイドへと押し退けると包丁を手に取った。
「なんか手伝うか?」
「んー?じゃぁ肉と野菜切って」
そう言って隣へと並んだサボに、手にしていた包丁の柄をサボへと向けた夢子ははいよ、とソレを受け取ったサボを見やると鍋に水を注ぎ込み、自分の周囲に集まったルフィとエースを怪訝そうに見やった。
「じゃぁ俺は味見係してやるよ!」
「なら俺は監修してやるよ!」
「邪魔だから」
そう言って偉そうに両腕を組んで両隣りに立ったルフィとエースに、あっち行け、とシッシとそんな二人を追い払った夢子は、詰まらなさそうに居間へと歩き出した二人を見やると小さく苦笑を漏らしコンロへと火をかけた。
「最近、父親とはどうだ……?」
「ンー……?朝にたまに顔見る程度」
相変わらず飲んだくれてる、とそう呆れた様に言葉を返した夢子に、そうか…とだけ相槌を返したサボは、たいして父親の話題も気に留めていないのか普通に料理を続ける夢子を横目に見やるとザクリ、と白菜へと包丁を突き刺した。
「……なんか、良い事でもあったか?」
「んー?なんで?」
「珍しく一限から来てたからな」
何かあったのかと思って、と乱雑に切った白菜を隅へと避けたサボはなんとなくだよ、と言葉を返し鍋に白菜を詰めていく夢子をチラリと見やると今度は鶏肉へと包丁を突き刺した。
「最近楽しそうだな。スモーカー先生ともあんま小競り合いしねぇし」
「スモヤンの説教はいつものことだから。あとは、まぁ、ちょっと………年上の人と知り合って」
「へぇ……
「エンコーか?!!」
そう、どこか楽しげに口元に弧を描いた夢子に、そうなのか、と言葉を返そうとしていたサボは居間から上がったその声に、聞いてたのか…と台所へと顔を覗かせたエースを呆れた様に振り返った。
「誰も年上の『男』と知り合ったなんて言ってねぇだろ……」
「いや、男だけど……」
「「マジかっ?!!」」
そう言ってまったく…、と呆れた様に溜息を吐きだしていたサボはそう、どこかバツが悪そうにポツリと声を漏らし自分達から視線を逸らした夢子にエースと共にギョッと目を見開いた。
「何処のどいつだっ?!!職業は?年齢は?レイリーさんぐらい歳の離れた人は流石にやめとけよっ?!!」
「エンコーするなら金ある奴にしとけよ!!貢ぐだけ貢がせてちゃんとバックレろよ?!!」
「二人ともウザい。それにちょっとエース、さっきから援交援交五月蠅いから」
刺すよ、と自分に詰め寄ってきたエースとサボに、鬼気迫る表情で自分に顔を寄せてきた二人から数歩身を引いた夢子はそう言うと手にしていた菜箸をエースの眼前へと突き付けた。
それにうぉっ?!と声を上げたエースはあと数センチで刺さりそうなソレを避けると、自分を一瞥し再び鍋へと視線を落した夢子に冷や汗を流すと小さく安堵の息を漏らした。
「で?何処の誰なんだ、その年上の男ってのは」
「あー……、白ひげカンパニーの部長さん」
「また……スゲェのと知り合ったな……」
そう目つきを鋭くさせ腕組みをしたサボに、興味津々な二人を見やった夢子は観念したようにそう言葉を返すと驚きに目を見開くサボとエースを見やり、一人遅れて台所へとやってきたルフィへと視線を向けた。
「その白ひげなんとかっちゅーのは凄ぇのか?」
「まぁね、世界にいくつも支店展開してるし、確かこの国の三大企業に入ってるんじゃなかったっけ?」
「???」
そう言って腕を組み首を捻ったルフィに、切り終えた野菜とお肉を鍋へと投入した夢子はことさらその首を捻り頭に疑問符を浮かべるルフィを見やると呆れた様に溜息を吐きだした。
「簡単に言えばシャンクスさんの会社と同じぐらい凄ぇってことだよ」
「シャンクスと同じなのか?!凄ぇなぁソイツ!!」
「いや、『その人が』じゃなくて『白ひげカンパニー』が凄いってことだから」
夢子の説明で理解できていないルフィに苦笑気味にそう言葉を付け足したサボは、自分の言葉にパッと顔を輝かせたルフィを見やると再び苦い笑みを零した。
目を爛々と輝かせるルフィに、呆れた様に言葉を返した夢子は具材を詰め込んだ鍋に蓋をするとさて、とひと段落した料理に自分を見やるサボ達を振り返った。
「まぁ、それだけなんだけど。鍋もう少し煮詰めるからルフィお風呂入れてきて」
「オーッ!」
そう言って風呂場を指差した夢子に、元気よく返事を返したルフィはメッシメッシ!と声を弾ませると台所を後にした。
次いで聞こえてきたシャワーの音に、食器の準備をしようと体の向きを変えた夢子はどこか楽しげにそんな自分を見やるサボとエースを見やるとキョトリ、と目を瞬かせた。
「なに……?」
「ん?いや……お前が大人に頼るのも珍しいと思ってさ」
そうどこか楽しげに声を漏らしたサボに、その眉間に皺を寄せた夢子は別に頼ってるわけじゃない…と言葉を返すとそんな二人の合間を縫って食器棚へと歩き出した。
「良いヤツなのか?そのブチョー」
「………まぁ、なにかと世話焼き、みたい」
「だったら良いよ。お前が側にいて安心できる相手なら問題ねぇ」
安心した!と二カッとその顔に満面の笑みを浮かべたエースに、食器棚から人数分のお皿を取り出した夢子はどこか優しい眼差しで自分を見やる二人に気恥ずかしそうにそんな二人から視線を逸らすと足早に居間へと歩き出したのだった。
何かと騒がしいモンキー家の食卓に、汁まで綺麗に飲み干し一番風呂!!と言って脱衣所へと駆けていったエースとルフィを呆れた様に見送った夢子は片付けも頼む、と台所から顔を覗かせたダダンへと片手を上げ返事を返すとエース達の茶碗へと手を伸ばした。
「ったく……アイツ等自分の分ぐらい片付けてけっての……」
「ルフィとエースだよ、もう諦めなよ」
アイツ等自由人だから、と同じように片付けを手伝いながら小言を漏らすサボに、苦笑を洩らした夢子はカラになった大鍋を手にダダンの元へと歩き出す。
それに長男はやっぱり俺かな…と同い年の兄弟の顔を思い浮かべそう小さく零したサボは、風呂場から聞こえた『サ~ボ~!タ~オ~ル~!!』の声に深々と溜息を吐きだした。
「タオルぐらい持ってけって………」
「ホント相変わらずだね、アイツ等……。良いよ、片付けしとくからサボもお風呂行きなよ」
御近所にも聞こえているだろうルフィとエースの楽しげな声に、サボの手から食器を受け取った夢子は呆れた様にタオルを手に脱衣所へと向かうサボを見送ると食器を手にダダンの元へと向かった。
「悪いね、夢子。急に呼び出しちまって」
「あぁ、良いよ。私も夕飯食べれたし」
お肉取られたけど、とコンマの早さで鍋の中から無くなった鶏肉に、そう苦笑交じりに声を漏らした夢子は手にしていた食器をシンクへと置くと洗い終えた食器を拭くべくフキンを手に取った。
どこか楽しそうに片付けを手伝う夢子を横目に見やり、ゆっくりメシも食えやしない…、と男ばかりの家にそう疲れた様に声を漏らしたダダンは、賑やかで良いよ、と言葉を返した夢子を一瞥するとシンクに置かれた夢子用の茶碗を手に取った。
「どうだい?いっそのこと此処でアイツ等と一緒に暮らしたら。アンタが来てくれりゃぁ私の負担も減るしね」
「ハハッ、毎日あの三馬鹿と顔合わせてご飯食べるのはキツイかなぁ」
そう言って窺うように自分を見やったダダンに、ハイ、と渡された自分用の茶碗の水気を取った夢子はダダンのその言葉に楽しげに破顔するとソレを食器棚の隅へと片付けた。
テンポよく進む片付けに、そう言って楽しげに笑みを浮かべる夢子を横目に見やったダダンはそうかい…と言葉を返すとひっそりと溜息を吐きだした。
家庭の事情で小さな頃からこの家によく遊びに来ていた夢子に、何時しか自分の負担を減らそうと家事の手伝いまでするようになっていた目の前の少女を見やったダダンは、いっそのことエースかサボと結婚しちまえばいいのに、と小さく零すと最後の一つを夢子へと手渡した。
「ありがと、ダダン。でもね、ダダンやガープさんにはいっぱい世話になってるから、コレ以上は迷惑かけらんない」
そう言ってフフ、と笑った夢子に、頑なに自分達と共に暮らすことを受け入れようとしない夢子を見やったダダンは呆れた様に溜息を吐きだすと付けていたエプロンで手を拭きそんな夢子の頭を軽く小突いた。
「馬鹿だねアンタは。誰も迷惑だなんて思っちゃいないよ。アンタはまだガキなんだ、甘えたいだけ甘えりゃ良い」
「ゥッ……ちょ、イタ…ダダンっ……!」
そう言ってコン!コン!コン!とおでこをつつくダダンに、堪らずそんなダダンから距離を取った夢子は呆れた様に腰に手を当て自分を見やるダダンに、痛む額に手を当て小さく苦笑を洩らすとありがと…、と笑みを零した。
「今はまだヘーキ!駄目だと思ったら……此処に逃げてくるから」
「あぁ、そうおし」
そう言ってじゃぁ帰るね、と鞄を手に取った夢子に、どこか少しだけ安心したように笑みを浮かべたダダンはそんな夢子へと気を付けて帰れよ、と声をかけると、ガラリと開いた玄関の扉にそちらへと視線を向けた。
「クソガキども~、ジイちゃんが帰ったぞー!!」
開いた引き戸に、ソコから顔を覗かせたのはこの家の大黒柱で、いい感じに酔いの回っているガープを見やった夢子とダダンは呆れた様に苦笑を洩らすとそんなガープへとお帰りなさい、と声をかけた。
「ン?夢子、お前此処でなにしとるんじゃ……?」
「あぁ、ダダンの手伝いするついでに夕飯食べに来たの」
もう帰るけど、とかけた声に自分へと視線を落したガープに、それじゃ、と片手を上げそんなガープの横を通り過ぎようとした夢子はガシリッ、と掴まれた肩に怪訝そうにそんなガープを振り返った。
「メシ食いにきたじゃと?!!ワシはなんも聞いとらんぞ!!オイ、ダダン!!なんでそんな大事なことワシに言わんかった!!」
「なんでって……だってアンタセンゴクのジジイと飲みに行くって言ってただろ……」
そう声を荒げ自分を鬼の形相で振り返ったガープに、ひどく呆れた様にそう言葉を返したダダンは再び夢子へと向き直ったガープを見やると当分帰れそうにないな、と孫であるエースやルフィ、サボと同等かそれ以上に夢子を溺愛するガープに小さく苦笑を洩らすと焼酎を温めるべく徳利を食器棚から取り出した。
「オイ夢子!当然今日は泊っていくんじゃろーな?!」
「ぇ……?だから私もう帰るって「泊ってけっ!!!」………ハイ」
よほど自分抜きで行われた夕食会が嫌だったのか、帰る、と口にしようとした夢子の言葉を遮りその両肩を押さえつけたガープに、鬼気迫るガープの顔にその表情を引きつらせた夢子は小さくそう言葉を返すと諦めた様に溜息を吐きだしたのだった。
「ヨーシ、そうと決まれば飲み直すぞ!夢子、酒じゃ酒!」
「あんま飲み過ぎると二日酔いになるよ。あ、ダダン手伝う」
「あぁ、悪いね。ガープが帰ってくる前に帰そうと思ったんだけどな」
結局捕まったね、と上機嫌に居間へと向かったガープの背を見やりそう苦笑を洩らしたダダンに、まぁおおよそ予想はしてた、と同じように苦笑を浮かべた夢子は奥の部屋から顔を覗かせたルフィ達を見やるとヒラリ、とそんなルフィ達へと手を振った。
「アレ?夢子まだ帰ってなかったのかよ」
「ンー、ガープさんに(強制的に)泊ってけって言われて」
「おー…そりゃ……御苦労さん」
「ヨッシャー!!じゃぁ夢子あとで大富豪やろーぜ―!!」
布団出してくるわ、と再び奥の部屋へと向かったエースに、大方の事情を把握したんだろうそう言って苦笑を洩らすサボと、素直に喜ぶルフィを見やり小さく苦笑を洩らした夢子は出来あがった熱燗を手に居間で待機するガープの元へと歩き出した。
「ガープさん、ホラお酌するから」
「おー、すまんのぉ!」
そうどこか呆れたように笑う夢子の声と、ひどく嬉しげなガープの声を聞いたダダンはホント嫁いでくりゃぁ良いのに…、と小さく零すとひっそりと笑みを零したのだった。
モンキー家との不思議な絆
後書→
備考!!
グランドライン高校で働く先生達
生活指導:スモーカー先生
化学担当:シーザー先生
英語担当:ヒナ先生
等々……また思い浮かんだりしたら概要に追加していきます!
「お前、この前より太ったね……」
「ンニ゛ァ~……」
野良にしては随分と肉付きの良い体に、斑模様のその猫の体を撫でやった夢子はこの学校の生徒達から餌付けされているんであろうその猫を見やると小さく苦笑を洩らした。
生まれつきなのか、歳を取っているからなのかしゃがれた声のその猫に、毛並みの良い体を楽しむ様その体を撫でていた夢子はピロン、と着信を知らせた携帯を開くとマルコからの返信を見て小さく口元に弧を描いた。
『相変わらず不細工な猫だな』と返ってきた返信に、そこが可愛いんだよ、とマルコへと返信するため文章を打っていた夢子はふと携帯に落ちた影に、携帯から視線を上げると上を仰ぎ見、その顔を引きつらせた。
「ゲッ……スモヤン……」
「授業サボって楽しくゲームか……?あぁ?」
威圧感溢れる佇まいで自分を見下ろす生徒指導の先生に、ヤバ…と小さく声を漏らした夢子は自分へと伸ばされたスモーカーの手に咄嗟に携帯を後ろ手で隠すとそんなスモーカーからサッと身を引いた。
「テメェみてぇなバカがいるせいで学校での携帯の使用が禁止されんだぞ、夢子・夢野」
「アー、ハイハイすいませんでした。あんまカッカしてると禿げるよスモヤン」
捉え損ねた手に、小さく舌打ちを零しそう声を低くさせたスモーカーは、そんな自分を一瞥し芝生から腰を上げた夢子を見やるとピクリ、と眉を震わせその口端をいびつに釣り上げた。
「誰のせいで苦労が絶えねぇと思ってんだ、不良娘……!!あと教師をあだ名で呼ぶんじゃねぇ!スモーカー『先生』だっつってんだろ……!」
「その顔で『先生』とか。面白いね、スモヤン」
そう声を荒げたスモーカーに、銀髪三白眼の目の前の教師を見やった夢子は額の青筋を増やしたスモーカーに、足元の野良をトン、と足でつつくとソッとそんなスモーカーから後退した。
「っ………!!このクソガキ……、珍しく一限から現れたと思ったら早々にサボりやがって……!!授業ぐらい顔出しやがれっ、夢子……!!!」
「ヘーヘー、そんな怒鳴らなくたって聞こえてるって」
「ニ゛ャァ----!!!」
肩を震わせ声を上げたスモーカーに、その怒声に驚きその場を逃げ去る猫を横目に見やった夢子は再び伸びてきたスモーカーの手をヒラリ、とかわすと面倒くさげに肩をすくめそんなスモーカーから逃げるようその場を走り出した。
追って来る気もないんだろうすぐに撒いたスモーカーに、休み時間を知らせるチャイムを聞いていた夢子は教室戻るのも面倒だな…、と次の教科の化学担当の教師の顔を思い浮かべると小さく眉を顰め、震えた携帯にソレをポケットから取り出した。
先程打ちかけで止まっていたマルコとのトークに、既読を付けてから随分と経つソレを見やった夢子はもう良いや、と打ちかけていた文章を消すと新たに着信を知らせたメールを開きパチリ、と目を瞬かせた。
滅多にメールなど送って来ない知人からの連絡に、今日夜家に来い、という簡潔なメールを見やった夢子はそのメールに『了解』とだけ返すと帰り仕度をするべく教室へと向かったのだった。
~~~~~~~
ネギに白菜に鶏肉に、と夕食に必要な材料を台へと並べていた夢子は、ガララと開いた玄関の扉に次いで聞こえてきたただいまー!という元気な声にお帰りー、と言葉を返した。
「よぉ、御苦労御苦労!今日の晩飯は鍋か!」
「夢子ー、腹減った!!」
「ルフィ、エース!まずは手ぇ洗ってからにしろ!」
ガヤガヤと一気に騒がしくなった台所に、帰ってきて早々にご飯の催促をするルフィと冷蔵庫を漁り始めたエースにサボの呆れた声がかけられた。
「ダダンは?」
「醤油切らしたからって買いに行った」
手提げ鞄を部屋の隅に置きそう声をかけてきたサボに、手を洗うべくシンクへとやってきたルフィ達の為に場所を横へとずらした夢子はヒャー、冷てぇ!と楽しげに声を上げるルフィとエースを横目に見やると収納ラックから昆布を取り出した。
「ジーさんは?」
「ガープさんはセンゴクさんと飲みに行ったらしい」
そう言って大鍋をコンロへとかけた夢子は、どうにも用件のみを述べる癖があるサボに呆れたような視線を向けると、横から顔を覗かせたルフィへと視線を向けた。
「なぁ夢子肉沢山入れてくれよ!」
「ダダンから渡された食材はコレだけです」
そう言って目をキラキラと輝かせるルフィに、残念、と肉より野菜の多い台を指差した夢子はえぇ~…、不満げな声を漏らしたルフィをサイドへと押し退けると包丁を手に取った。
「なんか手伝うか?」
「んー?じゃぁ肉と野菜切って」
そう言って隣へと並んだサボに、手にしていた包丁の柄をサボへと向けた夢子ははいよ、とソレを受け取ったサボを見やると鍋に水を注ぎ込み、自分の周囲に集まったルフィとエースを怪訝そうに見やった。
「じゃぁ俺は味見係してやるよ!」
「なら俺は監修してやるよ!」
「邪魔だから」
そう言って偉そうに両腕を組んで両隣りに立ったルフィとエースに、あっち行け、とシッシとそんな二人を追い払った夢子は、詰まらなさそうに居間へと歩き出した二人を見やると小さく苦笑を漏らしコンロへと火をかけた。
「最近、父親とはどうだ……?」
「ンー……?朝にたまに顔見る程度」
相変わらず飲んだくれてる、とそう呆れた様に言葉を返した夢子に、そうか…とだけ相槌を返したサボは、たいして父親の話題も気に留めていないのか普通に料理を続ける夢子を横目に見やるとザクリ、と白菜へと包丁を突き刺した。
「……なんか、良い事でもあったか?」
「んー?なんで?」
「珍しく一限から来てたからな」
何かあったのかと思って、と乱雑に切った白菜を隅へと避けたサボはなんとなくだよ、と言葉を返し鍋に白菜を詰めていく夢子をチラリと見やると今度は鶏肉へと包丁を突き刺した。
「最近楽しそうだな。スモーカー先生ともあんま小競り合いしねぇし」
「スモヤンの説教はいつものことだから。あとは、まぁ、ちょっと………年上の人と知り合って」
「へぇ……
「エンコーか?!!」
そう、どこか楽しげに口元に弧を描いた夢子に、そうなのか、と言葉を返そうとしていたサボは居間から上がったその声に、聞いてたのか…と台所へと顔を覗かせたエースを呆れた様に振り返った。
「誰も年上の『男』と知り合ったなんて言ってねぇだろ……」
「いや、男だけど……」
「「マジかっ?!!」」
そう言ってまったく…、と呆れた様に溜息を吐きだしていたサボはそう、どこかバツが悪そうにポツリと声を漏らし自分達から視線を逸らした夢子にエースと共にギョッと目を見開いた。
「何処のどいつだっ?!!職業は?年齢は?レイリーさんぐらい歳の離れた人は流石にやめとけよっ?!!」
「エンコーするなら金ある奴にしとけよ!!貢ぐだけ貢がせてちゃんとバックレろよ?!!」
「二人ともウザい。それにちょっとエース、さっきから援交援交五月蠅いから」
刺すよ、と自分に詰め寄ってきたエースとサボに、鬼気迫る表情で自分に顔を寄せてきた二人から数歩身を引いた夢子はそう言うと手にしていた菜箸をエースの眼前へと突き付けた。
それにうぉっ?!と声を上げたエースはあと数センチで刺さりそうなソレを避けると、自分を一瞥し再び鍋へと視線を落した夢子に冷や汗を流すと小さく安堵の息を漏らした。
「で?何処の誰なんだ、その年上の男ってのは」
「あー……、白ひげカンパニーの部長さん」
「また……スゲェのと知り合ったな……」
そう目つきを鋭くさせ腕組みをしたサボに、興味津々な二人を見やった夢子は観念したようにそう言葉を返すと驚きに目を見開くサボとエースを見やり、一人遅れて台所へとやってきたルフィへと視線を向けた。
「その白ひげなんとかっちゅーのは凄ぇのか?」
「まぁね、世界にいくつも支店展開してるし、確かこの国の三大企業に入ってるんじゃなかったっけ?」
「???」
そう言って腕を組み首を捻ったルフィに、切り終えた野菜とお肉を鍋へと投入した夢子はことさらその首を捻り頭に疑問符を浮かべるルフィを見やると呆れた様に溜息を吐きだした。
「簡単に言えばシャンクスさんの会社と同じぐらい凄ぇってことだよ」
「シャンクスと同じなのか?!凄ぇなぁソイツ!!」
「いや、『その人が』じゃなくて『白ひげカンパニー』が凄いってことだから」
夢子の説明で理解できていないルフィに苦笑気味にそう言葉を付け足したサボは、自分の言葉にパッと顔を輝かせたルフィを見やると再び苦い笑みを零した。
目を爛々と輝かせるルフィに、呆れた様に言葉を返した夢子は具材を詰め込んだ鍋に蓋をするとさて、とひと段落した料理に自分を見やるサボ達を振り返った。
「まぁ、それだけなんだけど。鍋もう少し煮詰めるからルフィお風呂入れてきて」
「オーッ!」
そう言って風呂場を指差した夢子に、元気よく返事を返したルフィはメッシメッシ!と声を弾ませると台所を後にした。
次いで聞こえてきたシャワーの音に、食器の準備をしようと体の向きを変えた夢子はどこか楽しげにそんな自分を見やるサボとエースを見やるとキョトリ、と目を瞬かせた。
「なに……?」
「ん?いや……お前が大人に頼るのも珍しいと思ってさ」
そうどこか楽しげに声を漏らしたサボに、その眉間に皺を寄せた夢子は別に頼ってるわけじゃない…と言葉を返すとそんな二人の合間を縫って食器棚へと歩き出した。
「良いヤツなのか?そのブチョー」
「………まぁ、なにかと世話焼き、みたい」
「だったら良いよ。お前が側にいて安心できる相手なら問題ねぇ」
安心した!と二カッとその顔に満面の笑みを浮かべたエースに、食器棚から人数分のお皿を取り出した夢子はどこか優しい眼差しで自分を見やる二人に気恥ずかしそうにそんな二人から視線を逸らすと足早に居間へと歩き出したのだった。
何かと騒がしいモンキー家の食卓に、汁まで綺麗に飲み干し一番風呂!!と言って脱衣所へと駆けていったエースとルフィを呆れた様に見送った夢子は片付けも頼む、と台所から顔を覗かせたダダンへと片手を上げ返事を返すとエース達の茶碗へと手を伸ばした。
「ったく……アイツ等自分の分ぐらい片付けてけっての……」
「ルフィとエースだよ、もう諦めなよ」
アイツ等自由人だから、と同じように片付けを手伝いながら小言を漏らすサボに、苦笑を洩らした夢子はカラになった大鍋を手にダダンの元へと歩き出す。
それに長男はやっぱり俺かな…と同い年の兄弟の顔を思い浮かべそう小さく零したサボは、風呂場から聞こえた『サ~ボ~!タ~オ~ル~!!』の声に深々と溜息を吐きだした。
「タオルぐらい持ってけって………」
「ホント相変わらずだね、アイツ等……。良いよ、片付けしとくからサボもお風呂行きなよ」
御近所にも聞こえているだろうルフィとエースの楽しげな声に、サボの手から食器を受け取った夢子は呆れた様にタオルを手に脱衣所へと向かうサボを見送ると食器を手にダダンの元へと向かった。
「悪いね、夢子。急に呼び出しちまって」
「あぁ、良いよ。私も夕飯食べれたし」
お肉取られたけど、とコンマの早さで鍋の中から無くなった鶏肉に、そう苦笑交じりに声を漏らした夢子は手にしていた食器をシンクへと置くと洗い終えた食器を拭くべくフキンを手に取った。
どこか楽しそうに片付けを手伝う夢子を横目に見やり、ゆっくりメシも食えやしない…、と男ばかりの家にそう疲れた様に声を漏らしたダダンは、賑やかで良いよ、と言葉を返した夢子を一瞥するとシンクに置かれた夢子用の茶碗を手に取った。
「どうだい?いっそのこと此処でアイツ等と一緒に暮らしたら。アンタが来てくれりゃぁ私の負担も減るしね」
「ハハッ、毎日あの三馬鹿と顔合わせてご飯食べるのはキツイかなぁ」
そう言って窺うように自分を見やったダダンに、ハイ、と渡された自分用の茶碗の水気を取った夢子はダダンのその言葉に楽しげに破顔するとソレを食器棚の隅へと片付けた。
テンポよく進む片付けに、そう言って楽しげに笑みを浮かべる夢子を横目に見やったダダンはそうかい…と言葉を返すとひっそりと溜息を吐きだした。
家庭の事情で小さな頃からこの家によく遊びに来ていた夢子に、何時しか自分の負担を減らそうと家事の手伝いまでするようになっていた目の前の少女を見やったダダンは、いっそのことエースかサボと結婚しちまえばいいのに、と小さく零すと最後の一つを夢子へと手渡した。
「ありがと、ダダン。でもね、ダダンやガープさんにはいっぱい世話になってるから、コレ以上は迷惑かけらんない」
そう言ってフフ、と笑った夢子に、頑なに自分達と共に暮らすことを受け入れようとしない夢子を見やったダダンは呆れた様に溜息を吐きだすと付けていたエプロンで手を拭きそんな夢子の頭を軽く小突いた。
「馬鹿だねアンタは。誰も迷惑だなんて思っちゃいないよ。アンタはまだガキなんだ、甘えたいだけ甘えりゃ良い」
「ゥッ……ちょ、イタ…ダダンっ……!」
そう言ってコン!コン!コン!とおでこをつつくダダンに、堪らずそんなダダンから距離を取った夢子は呆れた様に腰に手を当て自分を見やるダダンに、痛む額に手を当て小さく苦笑を洩らすとありがと…、と笑みを零した。
「今はまだヘーキ!駄目だと思ったら……此処に逃げてくるから」
「あぁ、そうおし」
そう言ってじゃぁ帰るね、と鞄を手に取った夢子に、どこか少しだけ安心したように笑みを浮かべたダダンはそんな夢子へと気を付けて帰れよ、と声をかけると、ガラリと開いた玄関の扉にそちらへと視線を向けた。
「クソガキども~、ジイちゃんが帰ったぞー!!」
開いた引き戸に、ソコから顔を覗かせたのはこの家の大黒柱で、いい感じに酔いの回っているガープを見やった夢子とダダンは呆れた様に苦笑を洩らすとそんなガープへとお帰りなさい、と声をかけた。
「ン?夢子、お前此処でなにしとるんじゃ……?」
「あぁ、ダダンの手伝いするついでに夕飯食べに来たの」
もう帰るけど、とかけた声に自分へと視線を落したガープに、それじゃ、と片手を上げそんなガープの横を通り過ぎようとした夢子はガシリッ、と掴まれた肩に怪訝そうにそんなガープを振り返った。
「メシ食いにきたじゃと?!!ワシはなんも聞いとらんぞ!!オイ、ダダン!!なんでそんな大事なことワシに言わんかった!!」
「なんでって……だってアンタセンゴクのジジイと飲みに行くって言ってただろ……」
そう声を荒げ自分を鬼の形相で振り返ったガープに、ひどく呆れた様にそう言葉を返したダダンは再び夢子へと向き直ったガープを見やると当分帰れそうにないな、と孫であるエースやルフィ、サボと同等かそれ以上に夢子を溺愛するガープに小さく苦笑を洩らすと焼酎を温めるべく徳利を食器棚から取り出した。
「オイ夢子!当然今日は泊っていくんじゃろーな?!」
「ぇ……?だから私もう帰るって「泊ってけっ!!!」………ハイ」
よほど自分抜きで行われた夕食会が嫌だったのか、帰る、と口にしようとした夢子の言葉を遮りその両肩を押さえつけたガープに、鬼気迫るガープの顔にその表情を引きつらせた夢子は小さくそう言葉を返すと諦めた様に溜息を吐きだしたのだった。
「ヨーシ、そうと決まれば飲み直すぞ!夢子、酒じゃ酒!」
「あんま飲み過ぎると二日酔いになるよ。あ、ダダン手伝う」
「あぁ、悪いね。ガープが帰ってくる前に帰そうと思ったんだけどな」
結局捕まったね、と上機嫌に居間へと向かったガープの背を見やりそう苦笑を洩らしたダダンに、まぁおおよそ予想はしてた、と同じように苦笑を浮かべた夢子は奥の部屋から顔を覗かせたルフィ達を見やるとヒラリ、とそんなルフィ達へと手を振った。
「アレ?夢子まだ帰ってなかったのかよ」
「ンー、ガープさんに(強制的に)泊ってけって言われて」
「おー…そりゃ……御苦労さん」
「ヨッシャー!!じゃぁ夢子あとで大富豪やろーぜ―!!」
布団出してくるわ、と再び奥の部屋へと向かったエースに、大方の事情を把握したんだろうそう言って苦笑を洩らすサボと、素直に喜ぶルフィを見やり小さく苦笑を洩らした夢子は出来あがった熱燗を手に居間で待機するガープの元へと歩き出した。
「ガープさん、ホラお酌するから」
「おー、すまんのぉ!」
そうどこか呆れたように笑う夢子の声と、ひどく嬉しげなガープの声を聞いたダダンはホント嫁いでくりゃぁ良いのに…、と小さく零すとひっそりと笑みを零したのだった。
モンキー家との不思議な絆
後書→
備考!!
グランドライン高校で働く先生達
生活指導:スモーカー先生
化学担当:シーザー先生
英語担当:ヒナ先生
等々……また思い浮かんだりしたら概要に追加していきます!