サマー・サマー・イリュージョン
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「ああ〜〜〜…」
「なに当真くん、そんな気の抜けた声出して」
身体を捻り後ろを向いた忍野がきょとんと首を傾げた。
今日は先日終わった期末テストの返却日だった。
教師が黒板にカッカとチョークを滑らせて平均点の発表をすれば、喜びの声や嘆きの声がそこら中から挙がる。
今しがた返却された数学のテスト用紙をちらりと見やると、右上にでかでかと28と書かれている。何度見ても、28。
「やばい、赤点だわ」
一学期末のテストは受験生にとって内申に関わる大事なテストであり、平均点がいつも以上に高かった。
それに対し、いつも通りテスト勉強などまるでしなかった当真は当然の如く赤点を取ってしまったのだ(勉強した所で赤点を回避出来たかは微妙なラインだが)。
確実に隊長に怒られる。ああ、それよりも進学校に通っている某映画バカの友人が激怒しそうだ。だが補習の為にあの男に土下座して勉強の教えを請わねばならない。
それを思うとため息しか出なかった。
「うわー、28って当真くんテスト勉強してないでしょ。補習がんば〜」
忍野はによによと笑みを浮かべながら俺の残念な答案用紙をペラリと揺らした。
おいなんだその顔、ムカつくな。というか俺のテストで折り紙を始めるんじゃない。
「そういう忍野はどうなんだよ?」
聞くと、忍野は折り紙をしていた手を止めて自分の机から答案用紙を引っ張り出し、したり顔でそれをずいっと俺の顔の前に突き出した。
「は?96…!?」
折り目だらけになった俺の答案用紙とは違い丸ばかりついた忍野の答案用紙には、平均点を優に超えた点数が記されている。
「お前、頭よかったんだな」
「まぁ当真くんよりはね。でも勉強すれば誰でも出来るよ」
早々に自分の答案用紙を机の中にくしゃりとしまった忍野は折り紙を再開しながら答える。
「…何回もやってれば、尚更」
「ふぅん、そういうもん?」
俺には到底できないしやる気もないが、頭のいいやつはそうやって何度も勉強するらしい。
「できた」
そよ風と共に紙飛行機が舞う。
赤ペンだらけでみっともない紙飛行機は思いの外綺麗に飛んで静かに着地した。
次の時間返却された忍野の社会のテストは25点だった。
(間違いだらけの解答用紙)