サマー・サマー・イリュージョン
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あれ?もしかして私話長すぎる?
待って待って、もうこれで最後だから──。
当真くんと邂逅を果たしたあの日、確実に何かが変わった。
今まで人を避けてきた私に毎日のように後ろから話しかけてくる男。
彼は「キャラクター」だったから余計戸惑ったけれど、この世界に来てからこんなに私に構ってくれる人なんて初めてだったから正直嬉しかった。
普通の高校生みたいにバカな話をしたり、私を友達だって言ってくれたり、友達の友達なんかとも関わりを持って放課後を共に過ごしたり。
当真くんに一杯食わされて、柄にもなく慌てたりもした。
間違いなくこの世界に来て一番楽しい時間だった。
当真くんと過ごしている内に私はどんどん絆されていって、よく話すようになった。よく笑うようになった。
いつの間にかこの日々が終わらないで欲しいと思うようになっていた。
そんなふうに思う日が来るだなんて、それまでの私には全く考えられなかったことだ。
けれど、そんな気持ちと反対に、背中の数字は減っていく。
もしこのカウントダウンの日数を決めた誰かがいるのなら、それは実に性根の歪んだ人物なのだろう。
私はこの数字がカウントダウンだと気づいた時点で、いつカウントダウンが0になるかを計算していた。
そして、その日が高校3年の一学期の終業式の日であることはすぐに分かった。
残酷だと思った。
これが私があまり積極的にこの世界に関わろうとしなくなった理由の一つでもある。
人間、1年やそこらで知らない土地に完全に慣れることは無いのだ。
だが、2年3年とその土地で毎日同じ場所──この場合は学校──に通い続ければ、多少なりとも執着が湧いてくるものである。
しかも今回の場合私にとってはイレギュラーであったが、3年目に入ってから急激にこの世界に執着が湧いてきてしまった。同級生──主に当真くんともう少し一緒にいたいと思うようになってしまったのだ。
だが、彼らと一緒に卒業することさえ許されない。
元々意味がわからないままこの世界に放り込まれたのに、区切りのいいところまでやらせてもらうこともできないだなんて、なんて不条理なんだ。
いくら願っても数字の減りが止まらないことは分かっていたけれど、雨の日の朝当真くんの言葉を聞いてどうしても期待を捨てられなかった。
夏休み明けの文化祭に出られないのは分かっていたけど、当真くんが私を巻き込んで強制的に決まったホールの仕事を楽しみにしている私がいた。
──だけど、カウントダウンは待ってくれない。背中の数字は遂に1になってしまった。
明日の今頃、多分私はもういない。
私の話は、これにてお終い。
(世界にさよなら)
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