オリジナル①
夢小説設定
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「とりあえず行こっか」
澪に促されて歩き出したとき、私の胸はまだどきどきしていた。
ナンパのせい……だけじゃない。
数歩歩いたところで、彼女がふいに振り返った。
「今日の宮坂、かわいいね」
それはあまりにも自然で、飾りのない声だった。
だからこそ、私の心にまっすぐ突き刺さる。
「えっ……」
頬が熱くなる。うまく呼吸ができない。
でも、ここで黙ったら何も伝えられない気がして、勇気を振り絞った。
「……澪ちゃんのほうこそ。かっこいい、よ」
彼女は少し目を見開いて、それから照れるでもなく、ふっと笑った。
嬉しそうな、その笑顔が、私の一番の“きゅん”だった。
たわいもない話をしながら並んで歩く。
昨日の夜、何着ようか悩んだ時間すら、今では幸せな記憶になっていた。
そして、映画館に着いた。
カウンターでチケットを買おうとすると、スタッフの女性がにこやかに言った。
「本日はカップル割がございますが、ご利用されますか?」
「えっ……ええと……」
一瞬、言葉が詰まる。顔が火照って、うまく言えない。
そんな私の横で、澪がくすっと笑った。
「じゃあ、それでお願いします」
「えええっ!?」
声に出しそうになったのを、なんとか堪える。
でも、顔の熱さはごまかせなかった。
ドリンクとポップコーンを買って、座席に向かう。 ほどよく暗い劇場内。並んで座ると、いつもより彼女の横顔が近かった。
スクリーンに照らされる光が、澪の頬を柔らかく照らしている。
同じ人なのに、学校とは全然違って見えた。
心臓の鼓動が、映画のBGMと重なっていく。
物語はクライマックスへ。
主人公たちが手を取り合うシーンで、私の右手が、ふいに誰かの手に包まれた。
――彼女の手だ。しかも、指を絡める“恋人繋ぎ”。
びくっとして、思わず息を呑んだ。
彼女を見ると、目を逸らさず、でも口元だけで静かに笑って、
――「シー」と、人差し指を口元に当ててきた。
心臓が跳ねる。何かが決壊しそうだった。
そして――映画は終わっても、彼女の手はそのままだった。
館内に灯りが戻って、観客が立ち上がり始めても、私たちだけが席に座ったまま、繋いだ手をそっと見つめていた。
「……あの、なんで……手、繋いだの?」
やっとの思いで声にした私に、澪は真っ直ぐに目を合わせて、言った。
「……映画が終わるまで、離れたくなかったから」
まるで、映画のセリフみたいに綺麗で。
それなのに、まるで私だけに向けたような優しい声だった。
もう、心臓の音が止まらなかった。
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