オリジナル①
夢小説設定
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10時、駅前ロータリー。
でも私は、9時30分にはそこに着いてしまっていた。
空はよく晴れていて、少し汗ばむほどの陽気。
「せっかくだし、待ち合わせってしてみたくない?」と彼女が提案したとき、なんだかちょっと恋人みたいだと思ってしまったのは、私だけだろうか。
ベンチに腰掛けて、スマホの時間を何度も確認する。 あと8分、あと5分、あと3分――
そんなふうに落ち着かない気持ちでいたとき、不意に背後から声をかけられた。
「ねえ、ひとり? 待ち合わせ?」
振り返ると、見知らぬ男の人が立っていた。
二十代後半くらいだろうか。笑顔だけが無駄に爽やかだった。
「あ、いえ……友達が来るので」
「そうなんだー。じゃあ、それまでちょっとだけ話そうよ。可愛いからさ、君」
心臓が冷たくなった。
「すみません、本当に友達が来るので……」
言っても離れない。
困ってスマホを握りしめたその瞬間――
「その子、僕の連れなんですけど」
低く、でもよく通る声が聞こえた。
その声の主は――彼女だった。
制服姿ではない、初めて見る私服姿。
黒のスキニーパンツに、白シャツと薄手のジャケット。
シンプルなのに、シルエットも色味もどこか大人っぽくて、きりっとした目元がより印象的に見えた。
男は一瞬だけ気まずそうな顔をして、
「なんだよ、彼氏持ちかよ」と吐き捨てて去っていった。
私はその場に立ち尽くしたまま、声も出せなかった。
「大丈夫だった?」と、澪が近づいてくる。
「……うん、大丈夫……ありがと……」
でも、うまく彼女の顔が見られなかった。
さっきまでの不安も怖さも、すべて彼女の登場で吹き飛んで。
それと同時に、いつもとは違う“かっこいい”彼女に、胸がぎゅっと苦しくなる。
「どうしたの? 顔、赤いよ」
「そ、そんなことないし……!」
彼女が笑った。
まるでそのすべてを見透かしてるみたいな、優しい笑いだった。
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