オリジナル①
夢小説設定
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下駄箱で靴を履き替えて、階段を上がる。
彼女と並んで登校するのは、ほんの10分程度のことなのに、私の心はずっと落ち着かなかった。
――このまま誰にも気づかれませんように。
そんな願いは、教室のドアを開けた瞬間、呆気なく砕けた。
「あれ? 小春、もしかして藤代さんと一緒に来た?」
「え~、仲良すぎじゃない?」
「もう席隣だし、登校まで一緒って、どんなラブコメよ~」
わっ……。
思ったよりも大きな声に、思ったよりも多くの視線が向けられる。
「ち、違……う、あの、たまたまで……」
声が裏返って、うまく言えない。
手のひらがじんわり汗ばんでくる。
言えば言うほど、余計に怪しい気がして、口をつぐんだ。
そんなときだった。
「偶然だったんだけど、同じマンションで部屋も隣だったの。だから、これから一緒に通うことになるかも」
彼女の声が、するりと空気を和らげた。
落ち着いた声で、飾り気なく。
まるで何でもないことみたいに。
「え~! マジで! それは運命だわ~!」
「引っ越してきてすぐお隣がクラスメイトって、レアだよね~」
ざわついていた空気が、笑い声に変わっていく。
私はというと――顔から火が出そうだった。
「ありがとう……」と小さくつぶやいた声は、彼女にだけ聞こえたと思う。
「うん」
彼女は私の方を見ないまま、机に教科書を出しながら小さく笑った。
その笑い声が、今朝の光よりもあたたかく感じたのは、きっと私だけじゃないと思いたい。
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